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[R5-03] コマチアイトとの対比を通した急冷アングライトの形成場
キーワード:アングライト、コマチアイト、層序、冷却速度、外来結晶
アングライトは太陽系最古のエコンドライトの一種であり、急冷または徐冷組織を示す。急冷アングライトの岩石組織は、冷却速度の大小に従ってQA1、QA2、QA3と変化する。この組織は、地球上に見られるコマチアイトの層序(A1、A2、A3)と類似する。本研究では、急冷アングライトとコマチアイトの組織、冷却速度およびバルク組成をそれぞれ比較し、急冷アングライトの形成場を明らかにすることを試みた。急冷アングライトのバルク組成は相関を示しており、Mgに富むカンラン石外来結晶の同化度合いに応じて変化していた。QA1とA1、QA2とA2、QA3とA3は、冷却速度や組織が良く対応していた。このことは、急冷アングライトはコマチアイトと同様な形成場で結晶化した可能性を示している。コマチアイトの形成場は、フィッシャーからの連続的な噴火であると考えられており、アングライト母天体でも同様の溶岩流を生じた可能性がある。その場合、急冷アングライトは、NWA 7203が冷却速度の異なる二つの組織を持つことから、溶岩流の冷却速度が、新たな溶岩流が覆い被さることで変化するような、溶岩流の末端部分に由来したと考えられる。