R5：地球外物質

[R5-04] メソシデライトを用いたシリカ鉱物が記録する冷却速度の推定

*大野 遼¹、竹之内 惇志²、三河内 岳³、山口 亮⁴、杉浦 直治¹ (1. 千葉工大・惑星探査、2. 京大・博物館、3. 東大・博物館、4. 極地研)

キーワード：シリカ、冷却速度、トリディマイト、クリストバライト、メソシデライト

シリカ鉱物は1200-400 ℃以下に至るまで、幅広い温度範囲の熱史を網羅的に推定可能と期待される有用な鉱物であることが明らかとなってきた。本研究では、シリカ鉱物が示す幅広い温度での定量的な冷却速度の見積もりを目指す。そのため、400 ℃以下の冷却速度が見積もれるFe-Niメタルと800 ℃程度の冷却速度が見積もれる輝石とシリカ鉱物を含むメソシデライトに着目した。本研究では、2つのメソシデライトを分析した。一つには単斜晶系トリディマイトのみが存在し、もう一方にはクリストバライトと石英の集合体が存在していた。シリカ鉱物は高温でクリストバライトが晶出し、ゆっくり冷却されることによりトリディマイトに相転移することが明らかとなっている。単斜晶系トリディマイトのみを含むメソシデライトでは、整合的な結果となった。一方で、クリストバライトと石英の集合体を含むメソシデライトの輝石の離溶ラメラと近年新しく見つかった隕石中のシリカ鉱物から、クリストバライトがトリディマイトに相転移する冷却速度が、1000 ℃以上で0.003-0.01 ℃/day以下であることが推定された。