一般社団法人日本鉱物科学会2021年年会・総会

講演情報

口頭講演

R5:地球外物質

2021年9月18日(土) 09:00 〜 12:15 Zoom Session 2

座長:中村 智樹(東北大学)、瀬戸 雄介(神戸大学)、 橘 省吾(東京大学)

11:45 〜 12:00

[R5-11] 非晶質微粒子の高温水質変成過程の中性子準弾性散乱

*奥地 拓生1、富岡 尚敬2、瀬戸 雄介3、梅田 悠平1、山田 武4、玉造 博夢5、柴田 薫5 (1. 京都大・複合研、2. JAMSTEC・高知コア研、3. 神戸大・院理、4. CROSS、5. 原子力機構)

キーワード:非晶質ケイ酸塩、水質変成、水素ダイナミクス、中性子準弾性散乱

地球の水は誕生期に微惑星などから供給された後に、内部の含水鉱物に貯蔵されてきた。水をつくる元素である水素は、最も軽くて動きやすい元素である。含水鉱物の結晶構造の内部では、水素結合の働きによって、動きやすい水素が巧みに保持される。このような水素は隣接原子間程度の距離において、水酸基の配向の静的・動的な切替わり、イオンあるいは欠陥としての高速の拡散など、多様なダイナミクスを示す。それでは地球に届く以前の水の貯蔵と輸送の媒質として重要である、非晶質の含水ケイ酸塩の水素は、どのようなダイナミクスを示すのであろうか。本研究では、水との反応を経て結晶化しつつある、高温の非晶質ケイ酸塩を、中性子準弾性散乱法によって解析した。得られた結果から二種類の水素のダイナミクスの存在が示された。一方はシリケイトと水の界面、もう一方はその界面で閉じられたnmオーダーの空間に存在する水分子と考えられる。非晶質の媒質中の水素の貯蔵と輸送の状態は、結晶質のものとは大きく異なる可能性が高いといえる。