一般社団法人日本鉱物科学会2021年年会・総会

講演情報

口頭講演

R6:深成岩・火山岩及び サブダクションファクトリー

2021年9月16日(木) 09:30 〜 12:00 Zoom Session 2

座長:川本 竜彦(静岡大学)、亀井 淳志(島根大学)、伴 雅雄(山形大学)

11:00 〜 11:15

[R6-06] ICDPオマーン掘削計画による高速海嶺系の下部地殻構造

*海野 進1、草野 有紀2、石塚 治2、普代 貴大3、田村 明弘1、森下 知晃1 (1. 金沢大・地球、2. 産総研・地調、3. 太平洋セメント)

キーワード:オマーン国際陸上科学掘削計画、マグマ溜まり、高速拡大海嶺、上部ガブロ、層状ガブロ

オマーン・オフィオライト南部のWadi Gideahで行われたICDPオマーン掘削計画による下部地殻コアについて,全岩・鉱物化学組成分析及び同地域のフィールド調査を行った。フィールドマッピング及び衛星データの解析から,同地域の下部地殻は厚さ3.5 km,GT1A孔とGT2A孔の層準はモホからそれぞれ0.4~0.8 kmと2.0~1.6 kmである。

ガブロの全岩組成は主に斜長石,カンラン石,斜方輝石の集積と間隙メルトの混合によって説明できる。ガブロの全岩・鉱物のLa,Pr,Ce組成から推定した間隙メルト量は,GT1A, GT2Aともに5‒10 mass%,最大でも15 mass%で,下位層準のGT1Aの方がやや少ない。

掘削コアはハイパーソリダス変形による面構造が発達する。モード層状構造の存在は局所的であり,層状ガブロはモホ面から高さ125 mまでに限られる。普遍的な集積鉱物の単斜輝石と斜長石の累帯構造の存在,オフィティックな単斜輝石,5 mass%を越える間隙メルトは,フォリエーティッドガブロの特徴である。

以上のことから,GT1A孔とGT2A孔はいずれもフォリエーティッドガブロを掘削したと結論される。