11:00 〜 11:15
[R7-07] 秋田県仙北市坊沢鉱床の地質及び浅熱水性低硫化型金銀鉱化作用
キーワード:バーミキュライト、示唆熱分析、中新世後期、低硫化型金銀鉱床、XRD分析
秋田県仙北市に位置する坊沢鉱床には中新統下部桂部地層が分布する.同層は主として陸域で形成された火山砕屑岩からなり貫入岩を含む。鉱化作用に伴う熱水変質帯はカオリナイト帯,セリサイト-カリ長石帯,緑泥石帯の3つに区分され,カオリナイト帯はセリサイト-カリ長石帯に重複する.また,これらの試料には普遍的にバーミキュライトが認められる.廃石中の石英脈は主にカリ長石と銀黒を含む累被状脈,熱水角礫岩脈,葉片状石英脈からなる.鉱床近傍の変質鉱物組み合わせからは200℃以上のアルカリ-中性流体が鉱床を形成したことを示している.石英脈の組織は金銀鉱化作用が沸騰によって生じたことを示唆しており,蒸気加熱型変質起源のカオリナイトの分布と一致する.本研究地域の桂渕層にみられる岩相とバーミキュライトは鉱床形成後,同地域が陸上風化を蒙ったことを示し,坊沢鉱床がアジア大陸縁辺の陸域環境で形成されたことを示唆する.