一般社団法人日本鉱物科学会2021年年会・総会

講演情報

口頭講演

R7:岩石・鉱物・鉱床 (資源地質 学会 との共催 セッション)

2021年9月18日(土) 09:30 〜 12:15 Zoom Session 3

座長:越後 拓也(秋田大学)、秋澤 紀克(東京大学大気海洋研究所)

11:15 〜 11:30

[R7-08] 秋田県大仙市畑鉱床の地質と金鉱化作用

*小沼 優希1、渡辺 寧1、越後 拓也1 (1. 秋田大・院国)

キーワード:浅熱水金鉱床,低硫化系,卑金属硫化物,重晶石,海水

秋田県大仙市畑鉱床とその周辺の地質の調査・鉱石記載を行った結果,同鉱床の下部の方鉛鉱や閃亜鉛鉱に富む鉱石中に金が多く含まれ,より上位に位置する重晶石を少量伴うような石英脈中に輝銀鉱が多く含まれることがわかった.SEM-EDS分析によるエレクトラムターニッシュ法と閃亜鉛鉱地質温度計により,本鉱床はHS⁻と金が錯体を作る低硫化系であり,流体包有物マイクロサーモメトリーの結果から浅熱水鉱床であることがわかった.また,XRDにより,金を含有するような鉱石の母岩はセリサイト変質とカリ長石変質を伴うことがわかった.これらの変質帯を作るpHの範囲を低硫化系浅熱水鉱床における金の溶解度を示すfO₂-pH図と照らしわせると,熱水中の酸素分圧が上昇して金の溶解度が減少したことによって沈殿したことがわかった.これは周辺の地質が海成層であり,上位に行くにつれて重晶石が増加していることから海水の混入が原因であることがわかった.