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[R7P-01] 北海道神居古潭帯に産する高枯渇度カンラン岩の成因とその形成場の検討
「発表賞エントリー」
キーワード:高枯渇度、カンラン岩、マントル、カンラン石、直方輝石
白亜紀島弧下のスラブマントル断片で あると考えられる北海道神居古潭帯には超苦鉄質岩が産出する(竹下他, 2018).鷹泊・幌加内カンラン岩体は高いFo値とスピネルのCr#から高枯渇度カンラン岩と解釈されている(田村他, 1999).本研究ではカンラン岩の構成鉱物の主要・微量元素組成に着目し,その成因の再検討と形成機構の制約を試みる.
鷹泊・幌加内カンラン岩のカンラン石と直方輝石のY, Ti濃度は低く,スピネルのCr#と逆相関を示す. Shaw (1970)の分別融解モデルと整合的であり,ニューカレドニア高枯渇度カンラン岩の直方輝石の濃度より低い (Xu et al., 2021).つまり鷹泊・幌加内カンラン岩は世界屈指の高枯渇度溶け残り岩であることが示唆される.
直方輝石のZr, Sr濃度は物質の流入を示唆する.そこでOzawa and Shimizu (1995)の開放的融解モデルを行った結果,直方輝石の微量元素組成と一致した.この結果は鷹泊・幌加内高枯渇度カンラン岩が沈み込み初期にメルト成分に枯渇したカンラン岩がさらに含水下にもたらされることで再び融解されたことが示唆される(Umino et al., 2015).