一般社団法人日本鉱物科学会2021年年会・総会

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R7:岩石・鉱物・鉱床 (資源地質 学会 との共催 セッション)

2021年9月17日(金) 09:30 〜 18:30 ePoster Session

09:30 〜 18:30

[R7P-04] 西南日本の熱変成蛇紋岩における滑石の組成多様性

宮本 大輔1、*野坂 俊夫1 (1. 岡山大・理)

キーワード:滑石、昇温変成作用、後退変成作用、かんらん岩、蛇紋岩


西南日本の熱変成蛇紋岩体のIII帯とV帯はそれぞれ,昇温変成作用で生じた滑石+かんらん石,および直方輝石+かんらん石で特徴づけられる。これらに加えて両帯ともに広範囲にわたって緑泥石が産する。一方,後退変成作用によって生じた鉱物として,V帯では直方輝石を置換する滑石とかんらん石を貫く蛇紋石脈が,またIII帯ではかんらん石を貫く蛇紋石脈が鏡下で認められる。これらのフィロ珪酸塩鉱物を分析したところ,次の結果が得られた。① III帯の滑石は,蛇紋石との中間的組成を持つものと緑泥石との中間的組成を持つものがある。② V帯の滑石の多くは蛇紋石との中間的組成を持つ。③ III帯・V帯の多くの滑石にはSiの減少に伴ってAlとNaの増加傾向が認められる。光学顕微鏡で同定された滑石の多くが中間的組成を持つことは,顕微鏡スケール以下での緑泥石や蛇紋石との機械的混合を示唆している。緑泥石との混合は昇温期の滑石の特徴であり,蛇紋石との混合は後退期の滑石の特徴と考えられる。一方,他相と混合していない滑石の組成のばらつきは,Naが滑石に選択的に分配され,Si ⇔ Al + Na置換が起きたことを示唆している。