一般社団法人日本鉱物科学会2021年年会・総会

講演情報

口頭講演

R8:変成岩とテクトニクス

2021年9月16日(木) 15:30 〜 17:00 Zoom Session 1

座長:遠藤 俊祐(島根大学)、纐纈 佑衣(名古屋大学)

16:45 〜 17:00

[R8-06] インドSarwar-Junia断層帯に露出するシュードタキライト形成の摩擦溶融プロセス

*岡崎 淳哉1、安東 淳一1、Das Kaushik1 (1. 広島大・院理)

キーワード:シュードタキライト、断層運動、摩擦溶融、塑性変形領域

シュードタキライト(Pst)は断層運動に起因する摩擦溶融によって形成される岩石であり、通常、脆性変形領域で形成されるが、塑性変形領域での形成を示唆するものも報告されている。本研究ではそれぞれの領域で形成されたと思われる2種類のPstの摩擦溶融プロセスと、塑性変形領域での断層形成メカニズムを明らかにすることを目的とした。

野外観察では母岩の面構造に対し、平行な脈(P-Pst)と大きく斜行する脈(C-Pst)の2種類のPst脈が確認された。微細組織観察から、それぞれの冷却速度に違いがあり、P-Pstの冷却速度がC-Pstより比較的遅いことが示唆された。また、クラストの鉱物種とそれらの融点から、メルトの最高温度は、P-Pstでは1400-1726℃、C-Pstでは1200-1300℃である。上記の結果から、P-Pstは塑性変形領域、C-Pstは脆性変形領域でそれぞれ形成された。

また、塑性変形領域での断層運動には黒雲母の定向配列が関連している。母岩中の黒雲母の(001)が弱面として働き、応力集中によって歪速度が増加することで、塑性変形領域で脆性破壊が起こると考えられる。