一般社団法人日本鉱物科学会2021年年会・総会

講演情報

口頭講演

R8:変成岩とテクトニクス

2021年9月17日(金) 14:00 〜 16:45 Zoom Session 1

座長:中村 佳博(産総研)、遠藤 俊祐(島根大学)

16:30 〜 16:45

[R8-16] 西彼杵変成岩雪浦メランジュ中のザクロ石の累帯構造

*西山 忠男1、鵜木 康平1、吉朝 朗1 (1. 熊本大学先端科学研究部)

キーワード:ザクロ石、累帯構造、西彼杵変成岩

九州西端西彼杵変成岩の雪浦メランジュは,マイクロダイヤモンドを産することから超高圧変成作用で形成された蛇紋岩メランジュであることが明らかになった.塩基性片岩の鉱物組み合わせは,ザクロ石+Ca角閃石+アルバイト±緑簾石±緑色黒雲母±フェンジャイト±緑泥石で,オンファス輝石仮像とローソン石仮像と思われる鉱物集合体が含まれる.ザクロ石はスペサルティン成分に乏しいアルマンディン―グロシュラール系列の組成を有し,リムでグロッシュラール成分が最大40%にまで増加する累帯構造を示す.泥質片岩の鉱物組み合わせは,ザクロ石+フェンジャイト+緑泥石+緑簾石+アルバイト+石英で,ザクロ石の組成はコアでAlm70Grs25Sps5~Alm60Grs25Sps15程度であり,リムで急激にグロッシュラール成分が増加し,Alm50Grs40Sps10程度となる.このような顕著な圧力増加を示す累帯構造は西彼杵変成岩の他の地域のザクロ石では見られない.

このことから雪浦メランジュが他地域の西彼杵変成岩より高圧の条件を受けたことは間違いない.