一般社団法人日本鉱物科学会2021年年会・総会

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R8:変成岩とテクトニクス

2021年9月17日(金) 09:30 〜 18:30 ePoster Session

09:30 〜 18:30

[R8P-01] 東南極リュツォ・ホルム岩体ルンドボークスヘッタに産するザクロ石-珪線石片麻岩中のザクロ石と大隅石の成長時期の差異

「発表賞エントリー」

*鈴木 康太1、河上 哲生1 (1. 京都大・院理)

キーワード:超高温変成作用、大隅石、昇温期変成作用、部分溶融、ナノグラニトイド


ルンドボークスヘッタに産するザクロ石-珪線石片麻岩中のザクロ石と大隅石の成長時期を、記載岩石学的手法により再検討した。大隅石はザクロ石の包有物として産する。Kawasaki et al. (2011)は、変成ピーク後の等温減圧中に、ザクロ石+大隅石の安定領域内(>960 oC)で、ザクロ石と大隅石が同時に成長したと解釈した。本研究では、電子顕微鏡による二次元的な観察に加えて、光学顕微鏡やラマン分光分析による三次元的な観察を行った。その結果、大隅石は単相ではなく、ガラスを伴うナノグラニトイド中に他形で産することが分かった。したがって、大隅石はザクロ石成長後にメルト包有物の中で晶出した娘鉱物であり、ザクロ石と大隅石の成長時期は異なると考えられる。また、ザクロ石には単相の黒雲母、珪線石、石英、自形斜長石なども包有されている。したがって、ザクロ石は等温減圧中ではなく、昇温期に黒雲母の脱水溶融反応によってペリテクティックに成長したと考えられる。ザクロ石に単相で包有されるルチルが示す温度は850-930 oCであり、ザクロ石+大隅石の安定領域には到達していなかったと考えられる。