一般社団法人日本鉱物科学会2021年年会・総会

講演情報

口頭講演

S1, S4:火成作用及びプレート収束域の物質科学合同セッション

2021年9月17日(金) 14:00 〜 16:45 Zoom Session 3

座長:DYUTI PRAKASH SARKAR(広島大)、浜田 盛久(海洋研究開発機構)

14:45 〜 15:00

[S1,S4-03] 室温から高温における単結晶白雲母の摩擦における直接効果の温度依存性

*佐久間 博1、Moore Diane2、Lockner David2 (1. 物材機構、2. USGS)

キーワード:直接効果、熱活性化過程、雲母、分子動力学、速度状態依存摩擦則

地殻内での変形は、しばしば弱い断層に集中する。そのため、断層に含まれる物質の摩擦特性を知ることは、地殻の変形挙動を知る上で重要となる。これまで速度状態依存摩擦(RSF)則は、断層やガウジの摩擦物性の記述、それを使った断層挙動の予測に役立ってきた。しかしながら含まれるパラメータは半経験的に決定されたものであり、実験で検証された温度・圧力・環境の範囲外に外挿することが難しく、明確な物理的背景に基づく非経験的なパラメータの決定が望まれている。本研究では、RSF則の速度変化に応答する重要なパラメータである直接効果”a”の物理的背景について報告する。我々の単結晶白雲母の速度変化せん断試験では、”a”値は温度増加と共に減少した。また分子動力学計算では、高せん断速度では同様に温度増加に伴い”a”値が減少し、低せん断速度では温度に依存せず一定値となった。これらの結果は従来の熱活性化理論では説明できず、直接効果の本質に迫るきっかけになるかもしれない。