S1, S4：火成作用及びプレート収束域の物質科学合同セッション

[S1,S4-05] オマーン陸上掘削プロジェクトで採取されたエピドサイトの地震波速度に空隙形状と変質鉱物が与える影響

*長瀨 薫平¹、片山 郁夫¹、畠山 航平²、赤松 祐哉¹、岡﨑 啓史³ (1. 広島大・院理、2. 明星大・教育、3. 海洋研究開発機構)

キーワード：エピドサイト、空隙形状、地震波速度

海洋地殻の含水化は沈み込み帯への水輸送に重要な役割を果たしている．特に，地震波速度が遅い海洋地殻浅部(Layer 2)には多くの水が割れ目中に存在していると考えられている(e.g., Detrick et al., 1994)．しかし，Layer 2の最下部において例外的にV_P/V_Sの低い領域が観測されており(Spudich and Orcutt, 1980)，このような観測結果は割れ目だけでは説明することができない．V_P/V_Sの低い領域を説明できる要因として，(1) アスペクト比が大きな丸みを帯びた空隙と(2) 熱水変質の影響が考えられる．オフィオライトにみられるエピドサイトは熱水循環に伴って形成された多孔質な岩石であり，造岩鉱物の中でも特に低いV_P/V_Sを示す石英を多く含んだ岩石であることから，低V_P/V_S構造と関連している可能性がある．そこで，本研究ではエピドサイトのV_P/V_Sについて空隙形状と変質鉱物に着目した物性測定と組織観察を行った．