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[S2-01] 神居古潭変成帯糠平超苦鉄岩体産Tiざくろ石を含むロジン岩が記録する交代作用史
キーワード:ロジン岩、チタンざくろ石、交代作用、蛇紋岩、神居古潭変成帯
北海道神居古潭帯の糠平超苦鉄岩体中のロジン岩から報告されたチタン柘榴石(Grs17.68Adr57.73Ti24.59, TiO2 ~ 9.70 wt%)は蛇紋岩が卓越する構造場の流体活動によってCaとAlと共にTiが移動したことを示す地質学的証拠である。このロジン岩は主として細粒の透輝石と緑泥石から構成され、チタン石を含み、少量のTiざくろ石を伴う。Tiざくろ石は細脈を充填するもの、透輝石・緑泥石・チタン石と共存するもの、の二種類が認められ、脈中を充填するものは組成累帯構造を持ち、中心部からそのチタンの濃度は9.93 mol%, 10.93 mol%, 0.71 mol%である。Tiざくろ石中の流体包有物の顕微ラマン分光分析とクロマトグラフィーによる全岩ガス分析の結果CH4とH2が確認された。ロジン岩にアクセサリー鉱物として含まれる自然銅と銅の硫化鉱物は約400 ℃の条件で硫黄分圧 ~ -20 < lnfS2 < -10 ~において酸素分圧は ~ -40 < lnfO2 < -30 ~ を示す。細脈を充填するTiざくろ石の年代は50.6 ± 4 Ma (MSWD = 1.7)の年代が得られた。