一般社団法人日本鉱物科学会2021年年会・総会

講演情報

口頭講演

S2: 岩石-水相互作用 (スペシャルセッション)

2021年9月16日(木) 09:30 〜 12:45 Zoom Session 3

座長:土屋 範芳(東北大・環境科学)

12:05 〜 12:20

[S2-10] ポロエラスティシティによる脱水分解した岩石の膠結作用:流体沈み込みへの応用

*藤田 和果奈1、中村 美千彦1、上杉 健太朗2 (1. 東北大・院理、2. JASRI)

キーワード:石英多結晶体、膠結作用、ポロエラスティシティ、沈み込み帯

非排水系において岩石が流体分離するメカニズムを理解するため、ピストンシリンダー型高圧発生装置を用い、1 GPa・900℃で石英多結晶体を合成した。流体のCO2/H2O比はXCO2= 0–0.47、流体体積分率は1.9–18vol.%とした。得られた実験産物では、幅広い条件でカプセルスケールでの流体量の不均質が形成されたり、流体の大部分が外部に吐き出され緻密な石英多結晶体を生成したりした。この現象は非排水系岩石のporoelasticityに由来する流体圧差に駆動されたシリカの溶解析出作用であると推定し、発生する流体圧の不均質を見積もった。得られた拡散係数から、流体量不均質に伴う間隙流体圧勾配によって効率的なシリカの移動が起ったことが分かった。沈み込み帯においてporoelasticityにより静岩圧の約1%の流体圧差が生じると仮定すると、深さ100 kmまでに沈み込む間に、温度に応じて数cm–数mスケールで流体分離と緻密化が起きうることが分かった。これ以下の流体分布の不均質構造は緻密化によって均され、分離した流体は連結した流路を形成して効率的に抜ける可能性が示唆された。