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[S2P-05] 長石の熱発光減衰速度式と熱伝導モデルの連成モデル
「発表賞エントリー」
キーワード:熱発光、発光曲線、地熱探査、熱伝導
本研究は長石の熱発光による地熱探査法の開発に向けて,定量的な熱源推定のためのモデルについて検討を行った.熱発光は固体結晶中に放射線が入射して電子が励起してトラップされることで蓄積したエネルギーが,熱刺激によって光として放出される現象である.TL現象はRandoll-Wilkinsモデル(Randoll and Wilkins, 1945)に従うとし,このモデルを実験で得られるパラメータに変換したKitisらによるモデル(Kitis et al., 1998)を適用して,TL発光曲線を6つに分解した.このモデルでは,熱発光強度の減衰速度式と熱伝導方程式を連成させた.減衰速度式は減衰項と蓄積項で構成され,前者は等温加熱による熱発光の減衰を2次また3次反応の反応速度式で記述した.後者は照射線量あたりの熱発光強度と年間線量から年間蓄積強度を算出して定数とし,時間の関数として記述した.熱発光のエネルギーの蓄積と減衰が入れ替わる温度が,最も低いもので21℃となった.通常の地温であればエネルギーが蓄積することから,本研究で検討したモデルに再現性があると考えられる.