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[R2-11] Structure transition mechanism under high pressure of Fe-Ti-0 system phases
Keywords:ulvöspinel, ilmenite, pseudobrookite
緒言 珪酸鉱物に含まれる酸化鉱物や硫化鉱物のフェリ磁性を示す多くの磁性鉱物は、古地磁気の研究や、プレートテクトニックスなどの地球物理の研究対象にされて来た。とくにFe-Ti-O系の研究は、Ishikawa et al. (1971), Akimoto et al. (1957)がなされ, また高圧下の相平衡実験もYamanaka et al. (2013), Akaogi et al. (2016)が行った。 ulvöspinel-magnetite series (Fe3-xTixO4), ilmenite-hematite series (Fe2-xTixO3), pseudobrookite series (Fe1+xTi2-xO5) は地球物質として、広く分布している。近年極端条件下での誘電体,半導体,金属などの構造物性について温度,圧力に即応した物性変化の研究,電子状態の格子力学的な効果,格子振動,原子間の電子密度,電子状態の変化の研究がなされて来た。それぞれ高圧転移でFe2TiO4 (cubic spinel→tetragonal spinel→hp-spinel→postspinel), FeTiO3は(ilmenite→perovskite→CaIrO3型)に準安定構造である急冷構造のLiNbO3型、またFe2TiO5(pseudobrookite)は(Fe2O3とTiO2に分解 )が報告されている。 実験 Fe-Ti-O 相は陽イオン間の圧力効果の変化を,DACを用いて,それぞれの試料についてJ-PARCでの高圧中性子回折で陽イオン分布解析を行った.正確なFe, Tiの原子位置の、圧力依存を解析した。X線の原子散乱因子はFe(26) Ti(22)で散乱能に差がないが、中性子散乱断面積はFe(9.54fm)とTi(-3.30fm)で大きな差があり解析精度が著しく向上する。パルス中性子源を用いてParis-Edinburgh pressを利用して28 GPaまで高圧回折実験を行った。解析結果 1.上記の物質の結晶構造は酸素原子の秩序配列で構成され、形成される陽イオンのsite symmetryが構築される。酸素原子による4、5、6、7、8配位などのサイトができる。 2. 物質の状態の圧縮率、ヤング率、剛性率、体積弾性率、状態方程式(EOS)などがある。3次のBirch –Murnaghan状態方程式の式を用いて等温過程での、unit cellや構成する幾つかの陽イオン、さらに空孔サイトの高圧での熱力学的な圧力効果を明らかにした。スピネル構造の酸素原子の四面体(-43m)と八面体(.-3m)と空隙サイトが構築される.しかし陽イオンは前者の1/8, 後者の1/2の位置に秩序分布しており、残りは空隙である。 3. 大部分の空孔サイトは単位胞体積の60%以上である。空孔サイトの存在確率が圧力と供に変化する。Fe2TiO4, FeTiO3, Fe2TiO5の高圧多形はいずれも2つの異なる陽イオンサイトFe2+, Fe3+, Ti4+が存在し、加圧にともなり圧縮率が異なる。単位胞の体積弾性率は最も多い空孔サイトに起因していることが明らかになった。 4. FeO6とTiO6八面体の圧縮率の違いはd-p-p 結合の電子密度分布の圧力変化が異なる。Fe2+ (3d6)の方がTi4+ (3d0)よりも電子状態分布の圧力変化が大きい。 固溶体の磁性は、主として Feイオンの分布が担っている。5. X線エミッション(XES)実験から加圧にともなり、high spin状態にあるFeの電子状態が low spin状態やintermediate spin状態に移行する。Fe-O原子間距離が収縮すし、圧縮率がます事が明らかになった。 Akimoto S J. Geomagnetism and Geoelectricity 8, 1-14 (1954)Ishikawa Y and Syono Y Phys. Rev. Lett 26, 1335 (1971)Yamanaka T, Kyono A, Nakamoto Y, Meng Y, Kharlamova S, Struzhkin VV, Mao HK Am Miner 98:736–744 (2013)Akaogi, M.; Abe, K.; Yusa, H.; Ishii, T.; Tajima, T.; Kojitani, H.; Mori, D.; Inaguma, Y. (2016). Physics and Chemistry of Minerals, 66, (2016)