2024 Annual Meeting of Japan Association of Mineralogical Sciences (JAMS)

Presentation information

Poster presentation

R2: Crystal structure, crystal chemistry, physical properties of minerals, crystal growth and applied mineralogy

Sat. Sep 14, 2024 12:30 PM - 2:00 PM Entrance Hall (Higashiyama Campus)

12:30 PM - 2:00 PM

[R2-P-10] Precipitated structures of pyroxene lamellar with various directions

*Shoichi TOH1 (1. Fukuoka University)

Keywords:augite, pigeonite, exsolution, texture

本研究で試料として用いたのは、南極大陸で採取された超高温変成岩の、グラニュライトである。(九州大学理学部、宮本知治博士より提供)南極大陸は、かつてゴンドワナ超大陸の一部であったと考えられており、超高温変成岩は大陸の衝突や分裂の記録を残していると考えられているらしい。藤と宮本(2020)はこれらの岩石中の輝石に離溶組織を見出した。さらに、走査型電子顕微鏡観察により、普通輝石内部にピジョン輝石が離溶しており、それらが複数の方位を持つ特徴を確認した。離溶現象は析出現象として各種の材料において知られている。一般に結晶での離溶相の形状はひずみエネルギーと界面エネルギーによって支配され、鉱物においても同様の現象が認められる。その中でも、普通輝石(aug)とピジョン輝石(pig)間の場合は、基本的に(100)面と(001)面上に析出相が形成されるが、実際にはそれらの方位からわずかに傾く場合があることが古くから知られており、”100”や”001”と表記される。この現象を説明するために、Robinsonら(1977)[1]は、BollmannとNissen(1968)[2]が提唱した、Optimal Phase Boundaryモデルを輝石に適用し、Exact Phase Boundaryと呼んだ。このモデルによれば、augとpigは構造が似ているため(100)や(001)から僅かに傾いた界面を形成することで格子のミスフィットがなく、ひずみエネルギーがゼロの状態を達成できると考えた。さらに、これらの界面の方位は一旦形成されると、その方位を保ったまま変化しないと考えた。したがって、これらの界面の結晶学的方位から離溶時の温度を見積もる温度計を提唱した。その一方でこれまでの超高温変成岩の研究において、FeやMgの拡散を伴ういわゆる地質学的温度計は最高変成温度を示すのではなく、冷却過程における温度をしめしていると考えられているらしい。これらを考え合わせると、aug-pigの界面方位に基づくRobinsonらが提唱した温度計を適用すれば、超高温変成岩が経験した最高変成温度を知ることができるはずである。実際に我々のグループで試算をしたところ、1000℃から1100℃の温度を示しており、岩石学における鉱物組み合わせや実験岩石学から導かれた温度と整合的である。しかしながら、Robinsonらのモデル図では格子定数が一致する任意の方位で界面が接合することになっているが、実際にこのような界面付近での原子構造もしくは配置に疑問が残る。これまでの我々の調査では文献[1}で示された界面のモデルを実際に高分解能像で観察した例は無いと思われる。そこで、昨今の(超)高分解能電子顕微鏡技術ならびに化学組成分析技術を用いて、界面における原子配列構造を明らかにする試みを行っている(図)。今回はそれらの結果について発表するとともに、その結果に基づき、Robinsonらのモデルを再検証し離溶ラメラの界面の方位や特徴的な形状を取る原因について考察したい。[1] Robinson et al., Am. Mineral, Vol. 62., 857-873 (1977). [2] Bollmann and NIssen, Acta Crystalogr., A24, 546-557 (1968).
R2-P-10