2024 Annual Meeting of Japan Association of Mineralogical Sciences (JAMS)

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Poster presentation

R2: Crystal structure, crystal chemistry, physical properties of minerals, crystal growth and applied mineralogy

Sat. Sep 14, 2024 12:30 PM - 2:00 PM Entrance Hall (Higashiyama Campus)

12:30 PM - 2:00 PM

[R2-P-13] Differences in the effects of Li and Cs on the calcitization of vaterite.

*Noboru FURUKAWA1, Ami Kinoda2 (1. Chiba University, 2. NIWAKA)

Keywords:vaterite, calcitization, Lithium, Cesium

発表者らは,合成vateriteが溶液媒介転移でcalciteに変化する速度が,K2CO3溶液では純水より速く,Na2CO3溶液では遅くなることを見いだした。その要因として,水溶液中では,K+イオンは構造破壊型イオン(負の水和)なのに対し,Na+イオンは構造形成型イオン(正の水和)という水溶液中の水和の状態の違いによることが示唆された(上平, 1998)。そこで,この効果を確認するために,Naと同じ構造形成型イオンであるLiと構造破壊型イオンであるCsを用いて同様の実験を行いその影響を検討した。vateriteの合成方法は松田 他,(1968)及びFernández-Díaz et al.(2010)の方法に従って調整した。0.5mLのマイクロチューブに,これらのvateriteと溶液を入れ,30℃の恒温槽に設置し55時間後まで定期的に回収し,XRDでcalcite化した量を求めた。溶液は超純水,及び 0.1, 0.18M/L(炭酸リチウムは0.18M/Lで飽和するため)のLi2CO3水溶液もしくは0.1, 0.25, 0.5M/LのCs2CO3水溶液を用いた。vateriteからcalciteへの変化量は,Rao(1973)の方法を用いて求めた。  Li2CO3溶液との反応では,Na2CO3溶液と同様にcalcite化が抑制され,その効果はNa溶液よりも大きく, 55時間程度ではほとんどcalciteには変化しない結果となった. また, Cs2CO3溶液との反応では, K2CO3溶液と同様に濃度の増大とともにcalcite化の速度も増大する傾向を示した. したがって, 溶液中のNaとKによるcalcite化の速度の違いは, Na+は正の水和をし, K+は負の水和をするという傾向と一致する. ただし, Cs+の方がK+よりもイオン半径が大きく, 負の水和の効果が強いはずであるにもかかわらず, K2CO3溶液の方がCs2CO3溶液よりもcalcite化の速度が大きいという結果となった. この現象やLi2CO3溶液ではほとんどcalcite化が進まない要因として,正及び負の水和以外の効果,たとえば水溶液中でのイオンの配位数などの影響を考慮する必要があるのかもしれない。
R2-P-13