12:30 〜 14:00
[R6-P-12] 部分溶融岩組織の再現と定量化:組織変化過程での物質移動経路の特定
「発表賞エントリー」
キーワード:深成岩、岩石組織学、岩石実験
深成岩の岩石組織は多様であり、その取得は比較的容易である。従って、組織情報を地質情報として扱うことで、高速に大量の地質情報を得られることが期待される。従って本研究は岩石組織と形成過程の関係を調べることで、岩石組織と地質情報をリンクさせることを目的とする。
方法として、深成岩組織中の鉱物粒子の形状変化に注目し、岩石実験、組織定量化を行った。部分溶融岩組織の高速変化を実現する目的で、細粒人工試料を用いた実験を行った。組織定量化では、SEM画像上に仮想の円をプロットすることで部分溶融部の二面角(θ)と後退量(L)の2つの定量データを取得する手法を考案した。
結晶化直後の二面角(θ)は 0~10 ° であった。結晶化後の物質移動によって二面角(θ)は 115~120 ° まで鈍角化し、その後時間経過に伴う鈍角化を停止した。代わりに部分溶融部が後退(L)することで、粒子の形状が変化し続けた。セラミックス分野の体積計算式(焼結機構の式)を本研究のSEM画像に用いて、部分溶融部の物質移動量(V)を計算した。体積変化から見積もられる物質移動量は結晶化からの経過時間に伴って増大した。
部分溶融部の後退距離(L)は結晶化からの経過時間(t)の三乗則に比例することが定量データから明らかになった(JpGU 2024で報告)。本報告ではさらに、物質移動量(V)と時間(t)の関係を明らかにした。
SEM画像観察によって固体状態では組織非平衡状態にある部分溶融岩組織は、平衡組織であるポリゴナル状組織に向かって結晶化直後から変化を開始したことを確認した。二面角(θ)が 115~120 ° で鈍角化を完了したことから、部分溶融部変形開始点の二面角は比較的早期に平衡に至ったことを定量的に明らかにした。後退距離(L)は時間経過(t)とともに部分溶融部中央に向かって後退しており、その組織変化プロセスは体拡散であることを定量的に予想した。さらに、組織変化に必要な物質移動量(V)と経過時間(t)の関係についても議論する。
方法として、深成岩組織中の鉱物粒子の形状変化に注目し、岩石実験、組織定量化を行った。部分溶融岩組織の高速変化を実現する目的で、細粒人工試料を用いた実験を行った。組織定量化では、SEM画像上に仮想の円をプロットすることで部分溶融部の二面角(θ)と後退量(L)の2つの定量データを取得する手法を考案した。
結晶化直後の二面角(θ)は 0~10 ° であった。結晶化後の物質移動によって二面角(θ)は 115~120 ° まで鈍角化し、その後時間経過に伴う鈍角化を停止した。代わりに部分溶融部が後退(L)することで、粒子の形状が変化し続けた。セラミックス分野の体積計算式(焼結機構の式)を本研究のSEM画像に用いて、部分溶融部の物質移動量(V)を計算した。体積変化から見積もられる物質移動量は結晶化からの経過時間に伴って増大した。
部分溶融部の後退距離(L)は結晶化からの経過時間(t)の三乗則に比例することが定量データから明らかになった(JpGU 2024で報告)。本報告ではさらに、物質移動量(V)と時間(t)の関係を明らかにした。
SEM画像観察によって固体状態では組織非平衡状態にある部分溶融岩組織は、平衡組織であるポリゴナル状組織に向かって結晶化直後から変化を開始したことを確認した。二面角(θ)が 115~120 ° で鈍角化を完了したことから、部分溶融部変形開始点の二面角は比較的早期に平衡に至ったことを定量的に明らかにした。後退距離(L)は時間経過(t)とともに部分溶融部中央に向かって後退しており、その組織変化プロセスは体拡散であることを定量的に予想した。さらに、組織変化に必要な物質移動量(V)と経過時間(t)の関係についても議論する。