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[R7-05] Geochmical and Sr-Nd isotopic characteristics of the Aitutaki peridotite xenoliths from the Cook islands
Keywords:Aitutaki island, mantle peridotite xenolith, Sr-Nd isotopic ratios
南西太平洋クック諸島は15の島からなり、その北部のアイツタキ島では主にカンラン石ネフェリナイト溶岩が露出する(Turner & Jarrad, 1982, JVGR)。このカンラン石ネフェリナイト(1.382–1.941 Ma;Rose & Koppers, 2019, G3)中には、スピネルレルゾライトを主とするマントルかんらん岩捕獲岩(<5㎝)が報告されている(例えばWood, 1978, N.Z.J. Geol. Geophys;Folder et al., 1982, N.Z.J. Geol. Geophys)。最近それらの捕獲岩のなかに、スピネルを取り囲んだザクロ石分解生成物(FMA)を含むレルゾライトの存在をAkizawa et al. (印刷中,PEPS)が報告した。Akizawa et al. (印刷中,PEPS)は、レルゾライト中の輝石の組成累帯やFMAの組織および化学組成の解析から、FMAを含むレルゾライトがスピネルからザクロ石レルゾライト領域への圧力上昇(下降流)とその後の温度低下(上昇流)を経験したと主張し、この流れがが小規模マントル対流による圧力・温度変化である可能性を示した。一方、スピネルレルゾライトやハルツバージャイトは単純な温度低下を示すとされている(大嶋ほか, 2020, 鉱物科学会講演要旨)。本研究では、FMAを含むレルゾライト3試料、スピネルレルゾライト2試料、ハルツバージャイト1試料を対象とし、それらを構成する単斜輝石の微量元素組成とNd同位体を測定した。これらのレルゾライトとハルツバージャイトはそれぞれ粗粒な等粒状組織と細粒な等粒状組織を示す。FMAの有無にかかわらず、レルゾライトとハルツバージャイト中の単斜輝石の希土類元素コンドライト規格化パターンは、基本的には重希土類に対して軽希土類に富む左上がりのパターンを示すことがわかった。これらのパターンは濃度が異なるものの、アイツタキ島マントルかんらん岩全岩の希土類元素パターン(Snortum et al., 2019, J.Petrol.)や捕獲岩を含むカンラン石ネフェリナイトのパターンと類似する。また、ハンドピック後に酸で洗浄した単斜輝石のNd同位体比は、中央海嶺玄武岩と母岩のカンラン石ネフェリナイトのNd同位体比の間に分散した。FMAを含まないレルゾライト、FMAを含むレルゾライト、ハルツバージャイトの順にNd同位体比が低下した。本講演では、今後行うSr同位体比の結果や鉱物の主要元素組成やその累帯構造から求めた温度・圧力も含め、アイツタキ島下の上部マントルの地球化学的特徴について考察したい。