12:30 PM - 2:00 PM
[R7-P-05] Mineralogical characteristics of Pothole Reef and Pseudo Merensky Reef at the western limb of the Bushveld Complex, South Africa
「発表賞エントリー」
Keywords:Bushveld Complex, Platinum Group Elements, Merensky Reef, Monosulfide Solid Solution, Intermediate Solid Solution
南アフリカ共和国北部に位置するBushveld複合岩体は,白金族元素(Platinum Group Elements: PGE)鉱化帯を胚胎する世界最大の層状貫入岩体である.この岩体は珪長質岩体と苦鉄質岩体で構成されており,PGE鉱化帯は苦鉄質岩体であるRustenburg層状岩体のUpper Critical Zone中に胚胎する.PGE鉱化帯としてMerensky Reef,UG2 Chromititeが西縁及び東縁に位置し,本研究地域であるSiyanda鉱山はBushveld複合岩体西縁北部に位置している.この地域ではPothole ReefというPGE鉱化帯が確認できる.Pothole ReefとはMerensky Reefを形態や岩相で4タイプに区分した際の最下位に相当するreefである.4タイプのMerensky Reefのうち,比較的PGE品位が高いとされているPothole Reefとその下位に存在するPGE品位の低いPseudo Merensky Reef中のPGE鉱物の観察・記載を行い,鉱物種や産状の違いについて明らかにするとともに2つのreefにおけるPGE鉱化作用について考察した.研究手法は,コア観察,薄片・研磨片を用いた顕微鏡観察,XRF,SEM-EDS,EPMAである.Pseudo Merensky Reefの岩相はpegmatoidal feldspathic harzburgiteであり,Pothole Reefはpegmatoidal feldspathic pyroxeniteであった.2つの岩相で見られる鉱物の違いはカンラン石が晶出するか否かである.また,両reefで観察される主な硫化鉱物は共通しており,ペントランド鉱,黄銅鉱,磁硫鉄鉱,黄鉄鉱がほとんどを占める.全体としてPGE鉱物は主にペントランド鉱や黄銅鉱の縁に晶出しており,金銀鉱物はほとんどが斜長石や石英など二次的に形成されたケイ酸塩鉱物中に形成されている.また両reefで形成されるPGE鉱物を比較すると,Pseudo Merensky Reefではtetraferroplatinum (PtTe)やzvyagintsevite (Pd3Pb)といったPGE-卑金属合金が支配的で,これらは主にペントランド鉱などのNi硫化鉱物と共生している.Pothole Reefではmoncheite ((Pt,Pd)(Te,Bi)2)やsperrylite (PtAs2)といったTe-Bi鉱物やAs鉱物が優勢であり,発見されたPGE鉱物の約半数を占め,硫化鉱物,特に黄銅鉱と共に晶出している.両reefにおけるPGE鉱物の鉱物学的違いは,マグマ溜まり中のPGEに富む硫化物メルトの結晶分別作用によって説明される.まず初めに,液相不混和によってケイ酸塩マグマから分離したPGEに富む硫化物メルトが冷却し,最初に晶出するのはNiに富むmonosulfide solid solution (mss)である.TeやBiといった半金属元素は,mssに対して不適合元素となるため硫化物メルトに残される.そしてPGEに富むmssがさらに冷却すると,ペントランド鉱とPd-PbやPd-Snといった合金などに分離する.一方,硫化物メルトに残されたTeやBiは冷却に伴って晶出するCuに富むintermediate solid solution (iss)に取り込まれる.このissがさらに冷却し,黄銅鉱とPt-Te-BiやPd-Te-BiといったPGEを含むTe-Bi鉱物などに分離したと考えられる.