12:30 〜 14:00
[R7-P-09] 広島県神武‐三原鉱床におけるアルカリ交代作用に伴う蛍石鉱化作用
「発表賞エントリー」
キーワード:蛍石、アルカリ(Na-K)交代作用、神武-三原鉱床
西南日本内帯には後期白亜紀花崗岩類の分布域に交代作用を被った岩石が分布しており[1],広島県神武‐三原鉱床ではアルカリ岩的性質を示唆する閃長岩及びモンゾニ岩の産出が知られている[2, 3].本研究において新たに蛍石を含む交代作用を被った岩石(以下,交代岩)を見出した.本研究では,広島県神武‐三原鉱床に産出する蛍石を伴う交代岩について,岩石記載および鉱物学的特徴を報告する.
鉱床周辺の地質はルーフペンダント状に分布するジュラ紀丹波帯の堆積岩コンプレックスとそれらに貫入する後期白亜紀の広島花崗岩類からなる.スカルン及び交代岩はこれら花崗岩類と堆積岩コンプレックスの間に位置する.
顕微鏡観察,SEM-EDSにより,交代岩は主にalbite,fluoriteから構成され,albiteは半自形~他形であり,微細な微小間隙が存在する.fluoriteはalbite中に他形,鉱染状に産する.Fluoriteは一般に無色であり,部分的に紫色を呈す.副成分鉱物は紫色を呈すfluoriteに粒状のthorite,zirconが産する.また,一部albite中に熱水変質を被ったzirconが認められた.また,交代岩の中にはalbite, garnet, hedenbergiteが粒状の組織を示し,蛍石が空隙を充填する産状も認められた.
以上の結果より神武‐三原鉱床に産する交代岩に認められる蛍石鉱化作用は,albite中に鉱染状で認められることから,長石中のCa成分が熱水と反応する(e.g. albitization)ことにより含F鉱物のfluoriteを形成したと考えられる.また,albite及び副成分鉱物の産状から,アルカリに富む流体による交代作用が起こったことが示唆される.引用文献:[1] 村上(1976) 岩鉱; [2]添田(1964) 通商産業省; [3]青木・肥田(1974) 鉱山地質.
鉱床周辺の地質はルーフペンダント状に分布するジュラ紀丹波帯の堆積岩コンプレックスとそれらに貫入する後期白亜紀の広島花崗岩類からなる.スカルン及び交代岩はこれら花崗岩類と堆積岩コンプレックスの間に位置する.
顕微鏡観察,SEM-EDSにより,交代岩は主にalbite,fluoriteから構成され,albiteは半自形~他形であり,微細な微小間隙が存在する.fluoriteはalbite中に他形,鉱染状に産する.Fluoriteは一般に無色であり,部分的に紫色を呈す.副成分鉱物は紫色を呈すfluoriteに粒状のthorite,zirconが産する.また,一部albite中に熱水変質を被ったzirconが認められた.また,交代岩の中にはalbite, garnet, hedenbergiteが粒状の組織を示し,蛍石が空隙を充填する産状も認められた.
以上の結果より神武‐三原鉱床に産する交代岩に認められる蛍石鉱化作用は,albite中に鉱染状で認められることから,長石中のCa成分が熱水と反応する(e.g. albitization)ことにより含F鉱物のfluoriteを形成したと考えられる.また,albite及び副成分鉱物の産状から,アルカリに富む流体による交代作用が起こったことが示唆される.引用文献:[1] 村上(1976) 岩鉱; [2]添田(1964) 通商産業省; [3]青木・肥田(1974) 鉱山地質.