4:55 PM - 5:10 PM
[S3-06] Microstructures of plagioclase in gabbroic ultramylonites and quadruple point analysis
Keywords:Quadruple points, Microstructure, Plagioclase, Ultramylonite
岩石の変形機構の一つである粒界すべりは、粒子どうしが粒界で滑り合あうことで変形する。この際、粒子のスイッチングで4つの結晶粒子が面上の1点で交わる四重点が形成されるモデル(Ashby and Verrall, 1973)が提案されており、粒子のスイッチングと四重点形成の様子が実験的で直接観察された(Maruyama and Hiraga, 2017)。また、天然のウルトラマイロナイトなどからも四重点は観察されており、粒界すべりを示唆する証拠の一つとして扱われているものの、その数や分布については着目されていない(Casini et al., 2021; Precigout et al., 2017; Menegon et al., 2013)。そこで、本研究ではオマーンオフィオライト北部フィズ岩体に発達するハンレイ岩ウルトラマイロナイトのEBSDマップデータから斜長石四重点の自動検出を試みた。
オマーンオフィオライトはテチス海を構成していた海洋プレートが、後期白亜紀に現アラビア半島上にオブダクションして形成されたオフィオライトであり、複数の延性剪断帯が発達する (Boudier et al., 1988)。特に北部フィズ岩体では含水鉱物を含む延性剪断帯が地殻-マントル境界に発達しており、カンラン岩側の変形についてはMichibayashi and Oohara (2013)、含水鉱物の微細構造については夏目ほか(2024)よって研究されている。
本研究で扱うハンレイ岩ウルトラマイロナイトは主に角閃石と斜長石から構成される。角閃石は基質部だけでなくポーフィロクラストも多く、ポーフィロクラストの破断部には細粒な角閃石または緑泥石が充填している。一方、斜長石はほとんど基質部のみでポーフィロクラストは少ない。基質部は両鉱物ともに粒径数μm程度で、相混合の程度は弱い。
本研究ではこのウルトラマイロナイト試料から、面構造に垂直、線構造に平行な面(XZ面)で研磨薄片を作成し、名古屋大学岩石鉱物学研究室にてSEM-EBSD分析を行った。分析条件は、加速電圧20 kV、ステップサイズ0.5 μmである。取得したEBSDマップデータからMATLABのMTEX Toolboxを用いて粒子を復元し、結晶方位解析と粒径解析を行った。さらに復元した粒子データから、四重点を十分に距離が近い二つの三重点の中間点とみなして四重点の検出を行った。その後、薄片上での粒子の欠損や四重点を構成する4つの粒子の大きさなどを考慮して検出した四重点をフィルタリングした。
結晶方位解析・粒径解析の結果、斜長石の結晶方位ファブリックについてはランダムで平均粒径約5 μm、角閃石の結晶方位ファブリックは(100)[001]のパターンであった。また、四重点は斜長石基質部に普遍的に観察された。本発表ではハンレイ岩ウルトラマイロナイトの微細構造について解析によって得られた四重点のより詳細な分布を基に議論する。
【引用文献】Ashby and Verrall, 1973, Acta Metall, 21, 149-163. Maruyama and Hiraga, 2017, J. Geophys. Res, 122, 5890-5915. Casini et al., 2021, J. Geophys. Res., 126, e2021JB022215. Edington et al., 1976, Prog. Mater. Sci., 21, 61-170. Precigout et al., 2017, Nat. Commun., 8, 15736. Menegon et al., 2013, J. Struct. Geol., 48, 95-112. Boudier et al., 1988, Tectonophysics, 151, 275-296. Michibayashi and Oohara, 2013, Earth Planet. Sci. Lett., 377, 299-310. 夏目ほか, 2024, JpGU2024, SCG46-13.
オマーンオフィオライトはテチス海を構成していた海洋プレートが、後期白亜紀に現アラビア半島上にオブダクションして形成されたオフィオライトであり、複数の延性剪断帯が発達する (Boudier et al., 1988)。特に北部フィズ岩体では含水鉱物を含む延性剪断帯が地殻-マントル境界に発達しており、カンラン岩側の変形についてはMichibayashi and Oohara (2013)、含水鉱物の微細構造については夏目ほか(2024)よって研究されている。
本研究で扱うハンレイ岩ウルトラマイロナイトは主に角閃石と斜長石から構成される。角閃石は基質部だけでなくポーフィロクラストも多く、ポーフィロクラストの破断部には細粒な角閃石または緑泥石が充填している。一方、斜長石はほとんど基質部のみでポーフィロクラストは少ない。基質部は両鉱物ともに粒径数μm程度で、相混合の程度は弱い。
本研究ではこのウルトラマイロナイト試料から、面構造に垂直、線構造に平行な面(XZ面)で研磨薄片を作成し、名古屋大学岩石鉱物学研究室にてSEM-EBSD分析を行った。分析条件は、加速電圧20 kV、ステップサイズ0.5 μmである。取得したEBSDマップデータからMATLABのMTEX Toolboxを用いて粒子を復元し、結晶方位解析と粒径解析を行った。さらに復元した粒子データから、四重点を十分に距離が近い二つの三重点の中間点とみなして四重点の検出を行った。その後、薄片上での粒子の欠損や四重点を構成する4つの粒子の大きさなどを考慮して検出した四重点をフィルタリングした。
結晶方位解析・粒径解析の結果、斜長石の結晶方位ファブリックについてはランダムで平均粒径約5 μm、角閃石の結晶方位ファブリックは(100)[001]のパターンであった。また、四重点は斜長石基質部に普遍的に観察された。本発表ではハンレイ岩ウルトラマイロナイトの微細構造について解析によって得られた四重点のより詳細な分布を基に議論する。
【引用文献】Ashby and Verrall, 1973, Acta Metall, 21, 149-163. Maruyama and Hiraga, 2017, J. Geophys. Res, 122, 5890-5915. Casini et al., 2021, J. Geophys. Res., 126, e2021JB022215. Edington et al., 1976, Prog. Mater. Sci., 21, 61-170. Precigout et al., 2017, Nat. Commun., 8, 15736. Menegon et al., 2013, J. Struct. Geol., 48, 95-112. Boudier et al., 1988, Tectonophysics, 151, 275-296. Michibayashi and Oohara, 2013, Earth Planet. Sci. Lett., 377, 299-310. 夏目ほか, 2024, JpGU2024, SCG46-13.