2024 Annual Meeting of Japan Association of Mineralogical Sciences (JAMS)

Presentation information

Oral presentation

S3: Rheology and Material Transfer in Mantle and Crust (Special Session)

Thu. Sep 12, 2024 3:30 PM - 6:00 PM ES025 (Higashiyama Campus)

Chairperson:Ikuo Katayama(Hiroshima University), Katsuyoshi Michibayashi(Nagoya University)

5:25 PM - 5:40 PM

[S3-08] Deformation and melt-rock interaction in the Horoman peridotite: Petrological and structual study of the MHL suite and BDH suite rocks

「発表賞エントリー」

*Aya Hihara1, Miki Tasaka1, Keisuke Kurihara1, Hajime Taniuchi2, Tastuhiko Kawamoto1 (1. Shizuoka Univ., 2. AIST)

Keywords:mantle, peridotite, deformation, crystallographic preferred orientation, EBSD

変形はメルトの浸透を促進しメルトの分布をコントロールする可能性がある. Holtzman et al. (2003)のオリビン+メルトの剪断変形実験では, 変形によりメルトに富むバンドとメルトに乏しいバンドに分離することが示されている. また, メルト存在下での変形は歪みを局在化させ,結晶方位に影響を与えることが示唆されている. 幌満かんらん岩体は, 北海道日高変成帯南縁部に位置するアルプス型のかんらん岩体で,多様なかんらん岩とmafic岩, 輝岩によって顕著な層構造が発達している. 幌満かんらん岩体のかんらん岩類はTakahashi (1991)により, 3つの特徴的な系列に区分されている: MHL系列 (Main harzburgaite-lherzolite), SDW系列 (Spinel-rich dunite-wehrlite), BDH系列 (Banded dunite-harzburgaite). 先行研究より, MHL系列のかんらん岩は海嶺起源であり (Yoshiukawa and Nakamura, 2000), BDH系列のかんらん岩類は沈み込み帯起源 (松藤ほか, 2006)である可能性が指摘されている. 本研究ではアポイ岳, 幌満川, 不動の沢の露頭からMHL系列とBDH系列の層状かんらん岩試料を採取し, 構造岩石学データを分析することで海嶺下と沈み込み帯における変形と岩石メルト相互作用について議論する. 露頭観察と微細構造観察から層状のかんらん岩における岩相境界と面構造は概ね一致することが確認された.電子線後方散乱回折 (EBSD)による解析では, オリビンは強い形態定向配列 (SPO)を示し, 結晶方位の集中度を示すJ-Indexの値は他のかんらん岩体と比較して低い値を示した. 結晶方位解析では2種類のCPOファブリックが観察された. ひとつはオリビンの [100]が面構造に方向な方向に[010]が面構造に垂直な方向に集中するCPOファブリック (A-type)で, もうひとつは [010]が面構造に垂直な方向に集中を示し, [100]と[001]は面構造に平行な方向に帯状分布を示すCPOファブリック (AG-type)である. この2種類のCPOファブリックは輝石の量比によって変化することから, メルトの存在が転位クリープから拡散クリープへと変形メカニズムを変化させ, CPOの発達に影響を与えたと考える. また, オリビン以外の鉱物 (斜方輝石, 単斜輝石, 斜長石, パーガス閃石)は粒界に入り込むような不規則な形状で存在し, 明瞭なCPOとSPOを示すため, メルトの浸透は変形と同時に起きたと考えられる. マイクロXRF分析のデータから算出した岩石の平均化学組成のMg#(=100×Mg/(Mg+Fe))は, MHL系列の岩石では69~82, BDH系列の岩石では 87と比較的高い値を示した. 電子線プローブマイクロアナライザ (EPMA)によるオリビンの Fo# (=100×Mg/(Mg+Fe))の測定では, MHL系列の岩石では83~92を示し, BDH系列ではダナイトで93~94, ハルツバージャイトで90~91を示した. Mg#に相違が明確に見られることは, 2つの系列間でかんらん岩とメルトの反応の程度が異なることを示唆する.

引用文献
Holtzman et al., 2003, Melt segregation and strain partitioning: implications for seismic anisotropy and mantle flow, Science, 301 (5637), 1227-30.Takahashi, 1991, Origin of three peridotite suite from Horoman peridotite complex, Hokkaido, Japan; Melting, melt segregation and solidification processes in the upper mantle., J. Mineral. Petrol. Econ. Geol., 86, 199–215.Yoshikawa and Nakamura, 2000, Geochemical evolution of the Horoman peridotite complex: implications for melt extraction, metasomatism, and compositional layeringin the mantle, J. Geophys. Res., 105, 2879–2901.