The 65th Annual Meeting of Japanese Association for Oral Biology

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Symposium

DES

「組織発生と再生、その理解と活用に向けた取組み」

Sun. Sep 17, 2023 9:00 AM - 11:00 AM A会場 (百周年講堂)

座長:松本 卓也(岡大 院医歯薬 生体材料)、大島 勇人(新潟大 院医歯 硬組織形態)

10:00 AM - 10:30 AM

[DES-03] Current status and future directions of regenerative medicine using cells consisting oral mucosa

〇Kenji Izumi1 (1. Div Biomater Sci, Niigata Univ Grad Sch Med Dent Sci)

Keywords:自家培養口腔粘膜、再生医療、臨床応用

悪性腫瘍切除後や外傷、口蓋裂等の形成手術時に口腔内でしばしば生じる広範な口腔粘膜欠損に対し、二次治癒による組織修復は創の拘縮/瘢痕形成による口腔機能不全や上皮化遅延による治癒期間の延長など、QOLを大きく損なうため組織欠損部の再建術が欠かせない。口腔外科臨床では、皮膚/口腔粘膜を用いた自家遊離組織移植や各種皮弁を用いた欠損再建術が行われるものの、移植する自家組織の量・質の問題や、ドナー部の侵襲や治癒不全など、課題が少なくない。一方、バイオマテリアル開発の発展により、アテロコラーゲン膜や生体吸収性材料の局所貼付が症例によって適用されている。生体親和性人工材料は入手が容易であることと、コスト面での利点はあるものの、上皮成分を欠いており、創面の再上皮化は患者自身の創傷治癒力に左右される。 1990年代以降は、ティッシュエンジニアリングという新しい学術領域、技術の発達によって多様な生体材料を足場とした細胞培養製品が研究、開発、臨床応用されてきた。ティッシュエンジニアリングを基盤とした軟組織に対する再生医療は、歯科、顎顔面口腔外科領域でもこうした課題を解決することができる新しい治療法として期待されてきた。ごく最近わが国では、複数の自家口腔粘膜上皮細胞シートが再生医療製品として重症眼科疾患への治療適用となり、再生医療の発展に大きく貢献している。一方、自家組織移植の欠点を克服する新しい治療法として、足場材を用いたいわゆる“自家培養口腔粘膜”に関しては、現在までに、口腔粘膜欠損の再建法として期待された成果があがっているとは言い難い。本講演では、臨床応用という面から培養口腔粘膜の現状と今後の展望について報告する予定である。