The 65th Annual Meeting of Japanese Association for Oral Biology

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Symposium

IRS

「健康長寿社会を目指す口腔機能低下の予防と回復法の確立― 老化の基礎的理解と咀嚼・嚥下の制御メカニズム ―」

Mon. Sep 18, 2023 8:30 AM - 10:30 AM A会場 (百周年講堂)

座長:井上 富雄(京都光華女短大 ライフデザイン)、井上 誠(新潟大 院医歯 摂食嚥下リハビリ)

8:33 AM - 8:58 AM

[IRS-01] Sarcopenia as a KEY to healthy life extension: importance of assessment of sarcopenia and current state of mechanistic research

〇Ken Sugimoto1 (1. Dept Gen Geriatr Med, Kawasaki Med Sch)

Keywords:健康長寿、サルコペニア、フレイル

人は生物としての老化を免れることができないが、老化に影響する因子が多様であること、また高齢化による平均寿命の延長から、その個人差が大きくなっている。現在、「健常」高齢者の身体機能や認知機能は年々良くなっている一方で、「要介護」高齢者は増え続けている。その差は、臓器障害に対する予防や治療だけで埋めることはできず、機能障害に対する予防・治療を同時に行うことで埋めることが可能と考えられる。機能障害の程度を把握するのに有用となるのが高齢者総合機能評価(CGA)やフレイル(Frailty)評価である。CGAは高齢者の疾患を含めた全体像を捉えるために、ADLや精神心理状態、社会的状況などを確立された方法で評価することである。またフレイルは可逆性の高い前要介護状態を指す概念であり、身体的、精神・心理的、社会的側面により構成される。いずれも高齢者個人が抱える問題点を明らかにするために不可欠な評価であり、その評価に基づいて必要な介入または対策を講じることができる。サルコペニアは身体的フレイルの中核をなし、加齢変化のみならず、併存疾患との間で悪循環を形成する病態として注目されており、新たな筋疾患として発症メカニズムから治療ターゲットに至るまで研究が進められている。これまでの研究から炎症や酸化ストレス、インスリン抵抗性などにより筋タンパクのネットバランスが負に制御されること、また骨格筋ミトコンドリア機能低下やオートファジー、筋衛星細胞の機能低下、筋血流の低下などがサルコペニアの発症や進展抑制に関連することが報告されており、それらを元にした介入法の確立も進められている。 本シンポジウムではサルコペニアの評価法と診療の現状とともに、サルコペニアの発症や介入効果に関するこれまでの研究について紹介し、課題や研究の方向性について議論したい。