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[MS1-01] 痛覚の中枢性制御機構と神経障害性疼痛薬の作用機構
キーワード:神経障害性疼痛、GABA、神経生理
痛みは末梢神経のAδ線維やC線維を介し、痛みの中枢への入り口である三叉神経感覚核や脊髄後角に伝えられる。他の感覚と異なり痛みは順応がない為、炎症や神経の圧迫により痛みの線維は発火し続け、その情報が中枢へ伝えられ持続する疼痛が惹起される。一方で、三叉神経感覚核や脊髄後角には抑制性介在ニューロンが多く存在し、また、上位中枢より下行性にノルアドレナリン神経群などが密に投射し、末梢から入力された痛みの情報が修飾・調節される。従って、これらの調節系に可塑的変化が生じると、末梢に痛みの原因がなくとも痛みの伝達が増強されるものと考えられる。本講演では、これら痛みの調節系をチャネルロドプシンなどの光遺伝学やDREADDsなどの化学遺伝学的等を用いて人為的に活動操作した時の異常な痛覚神経応答を紹介する。特にin vivoパッチクランプ法などを用い、活動電位の発火に加え、閾値下のシナプスレベルの痛みの調節機構、興奮性シナプス伝達やGABAなどを介した抑制性シナプス伝達機構の詳細な解析を紹介する。また、神経障害性疼痛薬であるα2δリガンドの神経障害性疼痛モデル動物における痛覚シナプス伝達に対する抑制作用や、CRISPER-Cas9システムを用いてα2δを特異的に分子欠損した時の痛覚伝達への影響を紹介したい。