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[MS1-02] 多面的アプローチによる触覚研究
キーワード:触覚、三叉神経、形態学
口腔顔面領域の触覚情報処理メカニズムについて、これまで多くの研究者の所見が蓄積され、理解が進んできているが、今後さらに研究が発展するためには、新しい研究手法の開発や柔軟な多種技術の組み合わせが必要である。演者は、げっ歯類のヒゲシステムを研究題材として口腔顔面領域の触覚を研究しており、解剖学的解析を主軸としながら、他に生理学的手法や遺伝子工学的手法を柔軟に組み合わせ、多面的なアプローチで三叉神経触覚系の解析を行っている。 まず、神経回路の作動アルゴリズムはその回路構築に規定されるとの考えから、in vivo シングルユニット解析と記録ニューロンの標識を組み合わせ、単一ニューロンレベルで回路の活動特性と構造の関係性を詳細に調べている。その際、実験的に感覚刺激を作り出すためにはピエゾ素子やボイスコイルアクチュエータを利用しており、単一ニューロンの標識にはsingle cell electroporationの技術を適用している。 また、舌や口唇などの触覚は、多くの場合、そのものの運動を伴い、これはアクティブセンシングの範疇に入る。よって、ヒゲ感覚を研究する際にもその運動との関係性が重要となる。そこで、覚醒動物を用いたヒゲ運動解析とニューロン活動解析も行い、感覚情報処理と合わせて統合的な考察を目指している。 さらに、我々の研究手法の主軸たる形態解析においては、マルチスケール解析をシームレスに繋ぐ先進的な実験手法を解析しており、その手法を当該研究プロジェクトに組み合わせることについても試みている。 このように、我々が押し進める包括的な神経回路研究について、実験技術的な側面を主体として話題を展開する。