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[O1-D-PM1-05] 抗癌剤のセツキシマブ(アービタックス)はケモカイ ン CXCL14 の発現を介して腫瘍抑制作用を示す
キーワード:セツキシマブ、抗癌剤の作用機作、CXCL14
【目的】 大腸癌、口腔癌(HNSCC)の治療に使用され るセツキシマブ(アービタックス) は上皮増殖因子 受容体(EGFR)活性を阻害するモノクローナル抗体であ る。しかし、セツキシマブ治療が有効な患者と有効で ない患者が存在する事から、その理由を明らかにする 必要がある。 【方法】マウスへの腫瘍移植実験から、セツキシマブ が有効な口腔癌細胞(舌癌細胞、HSC-3)と有効でない 細胞(下咽頭癌、 YCU-H891)を用いて腫瘍抑制におけ るケモカイン CXCL14 遺伝子の発現の関与を調べた。 【結果】 両者の細胞のセツキシマブ処理による CXCL14 遺伝子の発現を細胞培養系で比較すると、HSC- 3細胞ではCXCL14 mRNAの発現が検出されたが、YCU- H891 細胞では発現が検出されなかった。 また、YCU- H891 細胞では CXCL14 遺伝子の転写に必要なプロモー ター部分が高度にメチル化されていることが明らかに なったので、 メチル化阻害剤の5-アザ-2’デオキシ シチジン(デシタビン)で処理すると CXCL14遺伝子 の転写が活性化し、YCU-H891 細胞によるマウスの腫瘍 がセツキシマブで抑制された。さらに、YCU-H891 細胞 をドキシサイクリン処理により CXCL14 遺伝子を発現 するように細工し、この細胞をマウスに移植すると、 マウスの腫瘍はドキシサイクリン処理をした時のみセ ツキシマブによる腫瘍抑制作用が見られた。 【結論】 癌細胞のセツキシマブによる腫瘍抑制は CXCL14遺伝 子の発現を介しており、CXCL14 の発現はセツキシマブ による治療効果の予測に有効である事が明らかになっ た。