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[O2-D-PM1-02] 根尖歯乳頭組織由来幹細胞に発現する転写因子PITX2の機能解析
キーワード:根尖乳頭組織由来幹細胞、細胞周期、PITX2
【目的】Axenfeld-Rieger症候群は目や頭蓋顔面の形態異常および歯根形成不全を呈する疾患である。この疾患の責任遺伝子として転写因子PITX2が報告されている。歯の発生過程においては上皮-間葉相互作用が重要であるが、上皮細胞におけるPITX2の機能解析は進められているものの、間葉細胞おけるPITX2の機能については未だ不明のままである。根尖乳頭組織由来幹細胞(SCAP)は埋伏智歯等の根尖歯乳頭組織から単離される間葉系幹細胞であり、歯根象牙質を形成する責任幹細胞と見なされている。そこで本研究ではSCAPに発現するPITX2の機能について解析を行った。 【方法】健常者の根尖端歯乳頭組織から単離したSCAPにおいて、siRNAを用いてPITX2の発現をノックダウンし、細胞増殖能について比較解析を行った。また、フローサイトメトリー法およびウエスタンブロッティング法により細胞周期についても解析した。 【結果】PITX2発現をノックダウンしたSCAPでは、コントロールの細胞と比較して細胞増殖能が有意に低下していた。PITX2発現をノックダウンしたSCAPでは細胞周期G0/G1期の細胞の割合が増加し、S期の細胞の割合が著しく減少していた。またPITX2発現をノックダウンしたSCAPではG1期からS期への移行に重要な細胞周期関連タンパク質CyclinD1、CDK4、CDK6の発現が著明に低下し、RBのリン酸化も減少していた。 【考察】以上の結果から、PITX2はSCAPにおける細胞周期と細胞増殖を促進的に制御する可能性が示唆された。