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[O2-D-PM1-04] マウス胎仔の口蓋突起前方部における口蓋挙上のライブ観察
キーワード:発生、口蓋、ライブイメージング
哺乳類の二次口蓋は、口蓋突起の伸長、挙上、癒合といった複雑な形成過程を経てその形が出来上がる。マウス胎仔の口蓋形成は胎生13日目から14日目にかけて生じ、短期間に大規模な形態変化を伴う現象である。特に、口蓋突起の挙上は鉛直方向に伸びていた口蓋突起が水平方向へと持ち上がる現象であり、挙上パターンが前後軸に沿って変化することが知られている。口蓋突起の前方部分では口蓋突起全体が持ち上がるflip-upモデル、中間部および後方部分では口蓋突起の舌側面が膨らむflowモデルによって挙上が生じるが、そのメカニズムは明らかになっていない。そこで本研究では、口蓋突起の挙上をリアルタイムで詳細に観察するために、200-300 μmの厚さに切り出した前方部分のマウス胎仔口蓋突起スライスを用いたin vitroライブ観察法の構築を行い、in vivoの結果と比較した。また、変形過程における細胞移動の軌跡を捉えた。6時間のライブ観察を行い口蓋突起の角度変化を1時間ごとに調べたところflip-upモデルの挙上が観察され、口蓋突起は常に舌側方向へ変形を続け、in vitroでは約10°、in vivoでは約36°の変形が見られた。また、口蓋突起の舌側はより鋭角に変形しin vitroでは約18°、in vivoでは約30°の変形が見られ、舌側はより鈍角に変形しin vitroでは約13°、in vivoでは約30°の変形が見られた。さらに、舌側の細胞は一方向への移動を示し、頬側の細胞は変形点を中心に放射状の移動を示した。以上の結果から、前方部分の口蓋の挙上は口蓋突起のみでも生じることが示唆された。また、in vivoでの変形に比べin vitroの変形が小さかったことから口蓋突起の変形には口蓋突起だけではなく、その周囲の組織も影響していることが示唆され、部位特異的な細胞動態の違いが存在していることが明らかとなった。