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[O2-E-AM1-04] 口腔内細菌叢は口腔粘膜での好中球の末梢分化に関与している
キーワード:口腔常在菌、好中球、無菌マウス
(背景・目的)微生物叢の存在は、宿主の免疫系の発達や分化と密接な関係にあることが知られてきている。実際に、腸内細菌叢が免疫系のバリア機能や成熟に重要な役割を果たすことや様々な全身性疾患と関連していることが明らかにされてきている。口腔内細菌叢もまた、近年の研究から、う蝕や歯周病にとどまらず、様々な疾患との関連があることが明らかになってきている。しかしながら、口腔内細菌叢が宿主免疫系に果たす役割については未だ不明である。そこで本研究では、口腔内細菌叢が口腔粘膜免疫に与える影響について着目し解析を行った。
(方法)無菌マウスと通常飼育環境で生育したマウスを使用した。口腔細胞は上顎頬側歯肉および口蓋粘膜から、骨髄細胞は大腿骨から単離した。これらの細胞を特異的な抗体で染色し、フローサイトメトリーで細胞種や分布について解析を行った。好中球によるミエロペルオキシダーゼ産生量の測定は、口腔細胞をfMLP存在下で20分間培養後の上清を用いてELISA法で行った。T細胞によるサイトカイン産生能の解析はPMA/ionomycinで4時間刺激後に、細胞内染色を行い、フローサイトメトリーで行った。
(結果)無菌マウスの口腔粘膜には、通常マウスよりも多くの好中球が存在していることが分かった。続いて、ミエロペルオキシダーゼ産生能で好中球の機能解析を行ったところ、無菌マウスの好中球では産生能の低下がみられた。そこで好中球の成熟度について表面抗原を指標に解析したところ、無菌マウスの口腔の好中球には未成熟なものが多く含まれていることが分かった。しかしながら、骨髄細胞の解析では、口腔で見られるような未成熟な好中球の増加は見られなかった。一方で、口腔粘膜内のマクロファージやT細胞、B細胞は通常マウスと同様の表現型を示した。
(結論)口腔粘膜では常在細菌叢が好中球の末梢分化の促進に重要な役割をもつことが示唆される。
(方法)無菌マウスと通常飼育環境で生育したマウスを使用した。口腔細胞は上顎頬側歯肉および口蓋粘膜から、骨髄細胞は大腿骨から単離した。これらの細胞を特異的な抗体で染色し、フローサイトメトリーで細胞種や分布について解析を行った。好中球によるミエロペルオキシダーゼ産生量の測定は、口腔細胞をfMLP存在下で20分間培養後の上清を用いてELISA法で行った。T細胞によるサイトカイン産生能の解析はPMA/ionomycinで4時間刺激後に、細胞内染色を行い、フローサイトメトリーで行った。
(結果)無菌マウスの口腔粘膜には、通常マウスよりも多くの好中球が存在していることが分かった。続いて、ミエロペルオキシダーゼ産生能で好中球の機能解析を行ったところ、無菌マウスの好中球では産生能の低下がみられた。そこで好中球の成熟度について表面抗原を指標に解析したところ、無菌マウスの口腔の好中球には未成熟なものが多く含まれていることが分かった。しかしながら、骨髄細胞の解析では、口腔で見られるような未成熟な好中球の増加は見られなかった。一方で、口腔粘膜内のマクロファージやT細胞、B細胞は通常マウスと同様の表現型を示した。
(結論)口腔粘膜では常在細菌叢が好中球の末梢分化の促進に重要な役割をもつことが示唆される。