10:30 〜 10:40
[O2-E-AM2-03] 広島大学病院入院患者由来腸球菌の抗菌薬感受性およびバンコマイシン耐性遺伝子の解析
キーワード:VRE、院内感染、耐性遺伝子
【目的】腸球菌はヒト常在菌であるが,バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)は術後感染症などの日和見感染症を起こし,重篤化することがある.近年,VREは日本においても増加傾向を示し,院内感染対策においてさらに注意が必要である.そこで,当院で一定期間に分離された腸球菌の菌種,薬剤感受性,バンコマイシン耐性遺伝子の有無について明らかにした.
【方法】2021年4~6月の広島大学病院における入院患者を対象に,臨床検査部門にて分離した腸球菌164株についてTOF-MS法による菌種同定,薬剤感受性試験,NGS解析等を行った.NGSデータに基づき,バンコマイシン耐性遺伝子を含む耐性遺伝子の探索を行った.
【結果】同定した腸球菌164株の内訳は,E. faecalis(80株), E. faecium(41株), E. raffinosus(11株), E. casseliflavus(9株), E. avium(12株), E. lactis(8株), E. gallinarum(2株), E. malodoratus(1株)であった.vanA遺伝子の検出は他施設においてVRE陽性と判明している患者からのE. faecium1株のみであった.薬剤感受性試験の結果,抗菌薬の感受性パターンには菌種による傾向が認められた.アンピシリン耐性およびレボフロキサシン耐性のE. faeciumは,それぞれPBP5およびParC/GyrAに複数の変異がみられた.また,リネゾリド耐性遺伝子optrAとcfr(B)はそれぞれE. faecalisとE. raffinosusの1株のみで検出された.
【結論】入院患者が保有する潜在的なVREをスクリーニングすることは,院内感染対策を考える上で重要な情報の1つと考える.
【利益相反】利益相反状態にはありません.
非会員共同研究者:広大 院医 口外 相川友直
【方法】2021年4~6月の広島大学病院における入院患者を対象に,臨床検査部門にて分離した腸球菌164株についてTOF-MS法による菌種同定,薬剤感受性試験,NGS解析等を行った.NGSデータに基づき,バンコマイシン耐性遺伝子を含む耐性遺伝子の探索を行った.
【結果】同定した腸球菌164株の内訳は,E. faecalis(80株), E. faecium(41株), E. raffinosus(11株), E. casseliflavus(9株), E. avium(12株), E. lactis(8株), E. gallinarum(2株), E. malodoratus(1株)であった.vanA遺伝子の検出は他施設においてVRE陽性と判明している患者からのE. faecium1株のみであった.薬剤感受性試験の結果,抗菌薬の感受性パターンには菌種による傾向が認められた.アンピシリン耐性およびレボフロキサシン耐性のE. faeciumは,それぞれPBP5およびParC/GyrAに複数の変異がみられた.また,リネゾリド耐性遺伝子optrAとcfr(B)はそれぞれE. faecalisとE. raffinosusの1株のみで検出された.
【結論】入院患者が保有する潜在的なVREをスクリーニングすることは,院内感染対策を考える上で重要な情報の1つと考える.
【利益相反】利益相反状態にはありません.
非会員共同研究者:広大 院医 口外 相川友直