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[O2-E-PM2-04] Mitf遺伝子変異による咬筋組織リモデリングの誘発機序の解明
キーワード:mitf遺伝子、咬筋、組織リモデリング
【目的】小眼球症関連転写調節因子MITF (Microphthalmia-associated transcription factor)は慢性カテコラミン刺激による心肥大および線維化、アポトーシスの発症過程に重要であることが報告されているが、咬筋などの骨格筋における生理機能については不明である。そこで、今回我々は、mitf遺伝子変異型マウス(mi/mi)を用いて、この変異が咬筋のリモデリングとオートファジー、酸化ストレスに及ぼす影響について解析した。【方法】12週齢雄のmi/miおよび野生型(WT)マウス咬筋の筋線維横断面積 (CSA; μm2)、線維化、アポトーシス、オートファジーおよび酸化ストレスについて組織学的解析を行った。さらに、関連するシグナル因子の活性化レベルをウェスタンブロッティング法にて解析した。また、寿命調査も行った。【結果】組織学的解析によりmi/mi咬筋では、WTと比較してCSAの減少および線維化領域とアポトーシスの増加がみとめられた。一方、オートファジー抑制因子であるAktおよびmTORのリン酸化レベルが、有意に増加し、その促進因子であるp62のリン酸化レベルは有意に減少した。また、p62およびLC3の発現レベルは有意に増加した。さらに、mi/mi咬筋ではWTと比較し、酸化ストレスのマーカーである8-OHdG (8-hydroxy-2’-deoxyguanosine) 陽性細胞の割合は有意に増加した。加えて、酸化ストレスのシグナル因子であるNox2およびカルボニル化タンパクは、WTと比較し、mi/mi では有意に増加した。寿命調査ではmi/miはWTより寿命が短い傾向にあった。【結論】以上の結果から、mitf変異は骨格筋(咬筋)の組織リモデリングを誘導し、そのメカニズムとして、オートファジー機能の抑制と酸化ストレスの上昇が示唆された。