第65回歯科基礎医学会学術大会

講演情報

一般演題:口演発表

一般口演 炎症・免疫

2023年9月18日(月) 08:30 〜 09:40 D会場 (431講義室(4号館3F))

座長:常松 貴明 (徳大 院医歯薬 口腔分子病態)

08:40 〜 08:50

[O3-D-AM1-02] 胸腺間葉系ストロマ細胞による内在性制御性T細胞の産生メカニズムの解明

〇園田 聡一朗1、久本 由香里1、加藤 大樹1、上原 範久1、山座 孝義1 (1. 九大 院歯 分子口腔解剖)

キーワード:胸腺間葉系ストロマ細胞、内在性制御性T細胞、胸腺髄質

【目的】内在性制御性T細胞(nTreg)は免疫応答の抑制および自己寛容を維持する上で中心となるリンパ球である。したがってnTregの正常な発生機構を理解することは疾患治療の開発に寄与すると考えられる。しかし胸腺内でのnTregの自然発生メカニズムについては不明な点が多い。近年の研究で胸腺間葉系ストロマ細胞(TMC)がT細胞の多様性維持に重要な役割を持つことが報告されている。本研究では、TMCが胸腺におけるnTregの産生において果たす役割について検討を行った。
【方法】C57BL/6Jマウスの胸腺を段階的に酵素処理し、6フラクションを得て、TMCを単離した。胸腺内での局在と関連した特性の違いを検討するために、各フラクションのTMCの特性を細胞表面抗原によるフローサイトメトリーで解析した。さらに、C57BL/6Jマウスの胸腺より単離したCD4+CD8T細胞とTMCを共培養し、フローサイトメトリーでCD4+CD25hiT細胞の産生を解析した。
【結果】マウス胸腺の段階的酵素処理で得た初期フラクションでは胸腺皮質TMCを多く含み、後期フラクションになるにつれ胸腺髄質TMCを多く含む細胞集団として単離された。また各フラクションの細胞はカルチャーディッシュ付着性コロニーを形成し、そのコロニー形成細胞はTMCの特性を示していた。マウス胸腺由来CD4+CD8T細胞とTMCの接触型共培養を行うと、CD4+CD25hiT細胞が増加していた。
【考察】本研究によって、胸腺皮質のTMCならびに、従来の報告では培養の困難であった胸腺髄質のTMCがいずれもコロニー形成能を有する細胞集団として単離・培養可能であることを示した。また、胸腺におけるnTregの産生にはTMCとの接触刺激が必要であることが新たに示唆された。