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[O3-D-AM1-06] シングルセル解析を基盤としたシェーグレン症候群の発症機序の解明
キーワード:自己免疫疾患、シェーグレン症候群、CD4陽性T細胞
シェーグレン症候群 (Sjögren’s syndrome: SS) は唾液腺や涙腺を主な標的とする自己免疫疾患である。発症機序は未解明であり、根治療法は確立されていない。病理組織学的に唾液腺導管周囲にCD4+ T cellを主体としたリンパ球浸潤が観察されるが、SS疾患特異的な病原性CD4+ T cellの同定には至っていない。我々は雌NFS/sldマウスの生後3日目に胸腺を摘出することでSS疾患モデルマウスを作成し、唾液腺から単離した免疫細胞を用いてシングルセルRNA-seqを実施した。その結果、SSモデルマウスに特徴的なCD153+ CD4+ T cell集団を見出した。CD153+ CD4+ T cellは唾液腺だけでなく涙腺やリンパ組織でも増加していることが示された。SSモデルマウスに抗CD153中和抗体を投与すると、自己免疫病変の改善や唾液量・涙液量の増加が認められたことから、CD153は自己免疫病変形成の機能分子である可能性が示唆された。CD153はその受容体であるCD30と結合し、シグナル伝達することが知られている。CD30+ cellはSSモデルマウスで増加しており、CD153+ CD4+ T cellとともに自己免疫病変内に局在していた。SS患者の口唇腺生検材料を用いて検討したところ、CD153+ CD4+ T cell・CD30+ cellともにGreenspan分類のGrade 4の症例で多く観察された。以上から、CD153+ CD4+ T cellおよびCD30+ cellはSSの病態に関わる重要な細胞集団として同定された。