The 65th Annual Meeting of Japanese Association for Oral Biology

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Oral

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Mon. Sep 18, 2023 9:50 AM - 10:30 AM D会場 (431講義室(4号館))

座長:豊田 博紀(阪大 院歯 口腔生理)

9:50 AM - 10:00 AM

[O3-D-AM2-01] Role of Wnt5a released from mechanically stimulated rat periodontal ligament cells in the trigeminal mesencephalic nucleus

〇Kaori] Takahashi1, Takashi Yoshida2, Takashi Nakamura1, Minoru Wakamori1 (1. Div Mol Pharmacol Cell Biophys, Tohoku Univ, 2. Teikyo Heisei Univ)

Keywords:Wnt5a、mechanical stress、trigeminal mesencephalic nucleus

多くのコホート研究で口腔機能低下と認知症発症・認知機能低下の関連が報告されているが、口腔機能低下と認知症を結びつける詳細な分子生理学的メカニズムは不明である。認知症の約2/3を占めるアルツハイマー (AD) 病では、軽度認知障害時に神経細胞死が盛んに起きアミロイドβ (Aβ) が蓄積 (Tanaka H, et al., 2020)し、また、抜歯したADモデルマウスのMe5細胞では小胞内Aβが増加し 、青斑核 (LC)、海馬へと神経変性が広がることが報告された (Goto T, et al.,2020)。歯に咬合圧が加わると、一次感覚は歯根膜から三叉神経節 (TG) とMe5へ、咬筋の筋紡錘から主にMe5へ入力する。一次感覚ニューロンの神経節は通常、脳外に存在するが、咬筋や歯根膜の筋紡錘から入力を受けるMe5は例外的に脳幹の内部に存在する特殊な神経節である。我々は、機械刺激を受けた歯根膜細胞から産生されるWnt5aが、TGニューロンの分化を制御することを報告した (Takahashi K, et al., 2022)。以上のことより、機械刺激を受けた歯根膜細胞から産生される因子が、Me5細胞の生存・維持も制御する、という仮説を立て研究を行った。 ラット臼歯より歯根膜初代培養 (rPDL) 細胞を樹立した。rPDL細胞に周期的な伸展刺激 (0.5Hz、15%伸展) を負荷した。rPDL細胞は、神経の分化に関与するNgfBdnfNtr-4Wnt5aが発現していた。機械刺激を負荷したrPDL細胞ではWnt5aのみが刺激時間依存的に増加した。伸展刺激を負荷したrPDL細胞の上清培地は、初代培養Me5細胞の神経突起の長さや分岐数を増加した。抗Wnt5a抗体の投与により神経突起の伸長や分岐数の増加は抑制された。これらの事から、機械刺激を受けた歯根膜細胞から産生されたWnt5aはMe5細胞の生存・維持に関与する可能性が示唆された。