第65回歯科基礎医学会学術大会

講演情報

一般演題:口演発表

一般口演 骨1

2023年9月18日(月) 08:30 〜 09:30 E会場 (441講義室(4号館4F))

座長:坂東 康彦(明海大 歯 組織)

08:30 〜 08:40

[O3-E-AM1-01] 軟骨細胞におけるCCN2由来circRNAの発現とその機能の可能性

〇加藤 壮真1,2、河田 かずみ1,3、西田 崇1、滝川 正春3、久保田 聡1 (1. 岡大 院医歯薬 口腔生化、2. 岡大 院医歯薬 口腔再建外科、3. 岡大 院医歯薬 歯先端研セ)

キーワード:CCN2、circRNA、ACAN

Cellular communication network factor (CCN) 2分子は軟骨細胞分化や増殖を促進する。一方、環状RNA (circRNA)はバックスプライシングによって生成され、遺伝子発現を制御する。CCN2の由来circRNAの発現の報告は血管内皮細胞ではあるものの、軟骨細胞においてはこれまでにない。そこで、我々は、軟骨細胞におけるCCN2由来circRNAの発現と機能について検討を行った。まず、ヒト軟骨細胞様細胞株HCS-2/8細胞から抽出したRNAに対してRNase R処理を行い、直鎖状RNAを除去した後、CCN2由来circRNA検出プライマーを用いてPCRを行った。その後のアガロース電気泳動の結果、RNase R処理の有無に関わらず、一定の位置にバンドが確認された。更に、確認されたバンドの塩基配列構造を決定した結果、環状RNAの特徴を有していた。次に、CCN2由来circRNAの軟骨細胞における機能を検討するため、マウス軟骨前駆細胞株ATDC5細胞から経時的にRNAを回収し、HCS-2/8細胞と同様にPCRを行ったところ、Ccn2由来circRNAが複数検出され、分化誘導後12日目にこれらのcircRNAの発現量はピークに達した。更に詳細に軟骨細胞でのCCN2由来circRNAの機能を検討するため、HCS-2/8細胞においてCCN2由来circRNAをノックダウンしたところ、軟骨細胞分化マーカー遺伝子のひとつACANに有意な発現量の減少が認められた。以上より、軟骨細胞においてもCCN2由来circRNAは発現しており、これらのcircRNAは軟骨細胞分化に関与することが示唆された。このCCN2由来circRNAは、ACANを抑制するmiRNAの標的塩基配列をもつため、これを吸着することでACANの発現を促進したと考えられる。