第65回歯科基礎医学会学術大会

講演情報

一般演題:口演発表

一般口演 骨1

2023年9月18日(月) 08:30 〜 09:30 E会場 (441講義室(4号館4F))

座長:坂東 康彦(明海大 歯 組織)

08:50 〜 09:00

[O3-E-AM1-03] CCN3は軟骨細胞老化マーカーであり、年齢、荷重の有無に関わらず変形性関節症と相関する

〇服部 高子1、滝川 正春2、久保田 聡1 (1. 岡大 院医歯薬 口腔生化、2. 岡大 院医歯薬 歯先端研セ)

キーワード:CCN3、細胞老化、変形性関節症

様々な年齢のヒト患者由来初代培養軟骨細胞からRNAを回収し、RNA-Seq解析を行ったところ、CCN(cellular communication network factor)3が年齢とともに誘導される因子として同定された。CCN3は軟骨組織で発現し、細胞外基質の発現調節作用や増殖抑制作用を示す。そこでマウス肋軟骨初代培養細胞における月齢とCCN3mRNAを比較したところ、細胞老化関連分泌形質(SASP)因子および細胞周期停止因子mRNAとともに強い正の相関を示した。ヒト初代培養軟骨細胞およびラット軟骨細胞株RCS細胞にH2O2を用いて酸化ストレスを加えたところ、用量依存的なCCN3、p53、p21mRNAの増加を認めた。CCN3の過剰発現によりp53結合部位を含むp21プロモーター活性の増加、RCS細胞へのCCN3の添加で、p53、p21mRNAの有意な上昇を認めた。作製した軟骨特異的CCN3過剰発現マウスで変形性関節症(OA)様関節軟骨の変化を認めた。同マウスの初代肋軟骨培養細胞ではp53、p21mRNAに加え、SASP因子が誘導されていた。これらの結果は、①老化に伴いCCN3の発現が上昇することからCCN3は軟骨老化マーカーと考えられること、②CCN3の発現が、p53を介してp21の発現を誘導し、細胞老化を誘導すること、③CCN3の過剰発現が軟骨組織の変性を導くことを示唆している。さらにOA群と正常群の患者由来大腿骨頭から荷重部と非荷重部を分取したところ、荷重の有無に関わらずOA群でOA関連因子やCCN3mRNAの有意な上昇を認め、CCN3mRNAと軟骨組織の変性度を示すMankin scoreに正の相関が観察された。このことは④CCN3の発現は年齢や荷重にかかわらず、OAの有無、さらには重症度に関与していることを示している。共同研究者:桑原実穂、廣瀬一樹(岡山大学)