第65回歯科基礎医学会学術大会

講演情報

一般演題:口演発表

一般口演 骨1

2023年9月18日(月) 08:30 〜 09:30 E会場 (441講義室(4号館4F))

座長:坂東 康彦(明海大 歯 組織)

09:00 〜 09:10

[O3-E-AM1-04] 変形性関節症OAにおけるヒアルロン酸分解酵素Tmem2の役割

〇室谷 智哉1、犬伏 俊博1、可児 廉志郎1、山城 隆1 (1. 阪大 院歯 矯正)

キーワード:軟骨、変形性関節症、ヒアルロン酸

【目的】ヒアルロン酸(以下HA)は、軟骨などの関節領域に高濃度で存在する。HA代謝機構の破綻が変形性関節症(以下OA)の発症に関与していることは知られている。近年、細胞膜上に存在するHA分解酵素の存在が明らかになってきており、合成系を中心に考察されてきたHAの機能に分解系を組み込むことによる新たな知見が期待されている。HA分解酵素のTMEM2はHA代謝の中心的な役割を担っている。しかし、関節におけるTMEM2の生物学的機能やOAとの関わりについては明らかになっていない。本研究では関節組織の恒常性維持におけるTmem2の役割、HA代謝制御機構やOAの発症・進行との関わりを検討することとした。【方法】Tmem2-CKOマウス、野生型マウスに内側半月板靭帯切断術(以下DMM手術)を行い、外科的OAモデルマウスを作成しDMM手術後、4週、8週、12週後の関節組織における関節軟骨の変性、OA進行度の評価を行った。【結果】関節軟骨細胞にTMEM2は高発現していた。特に関節軟骨表層の軟骨細胞に高発現していた。DMM手術の結果、コントロール群と比較し関節軟骨表層において核の消失や肥大化、表層軟骨の粗造化といったOA所見を確認した。DMM(+)Tmem2-CKOマウスにおいて非石灰化軟骨層と石灰化軟骨層との境界部で軟骨は剥離しており、DMM(+)Tmem2-WTマウスと比べて有意(p<0.001) にOAが進行していた。このことからOA発症初期段階においてTmem2は関節軟骨の恒常性維持において保護的な役割も果たしていると考えられる。【結論】Tmem2がOA発症初期段階で関節軟骨の恒常性維持に重要だということが明らかになった。In vivoIn vitro両面からTMEM2のOAとの関わりを詳細に解析、TMEM2を標的とした変形性関節症の予防・治療法の可能性について検討する予定である。