第65回歯科基礎医学会学術大会

講演情報

一般演題:口演発表

一般口演 微生物3

2023年9月18日(月) 13:20 〜 14:20 E会場 (441講義室(4号館4F))

座長:長谷川 義明(愛院大 歯 微生物)

13:20 〜 13:30

[O3-E-PM1-01] レスベラトロールはFusobacterium nucleatumが誘導する上皮間葉転換を抑制する

〇閔 潔1、瀧川 博樹2、円山 由郷2、南部 隆之2、真下 千穂2、沖永 敏則2 (1. 大歯大 院歯 細菌、2. 大歯大 細菌)

キーワード:epithelial-mesenchymal transition、Fusobacterium nucleatum、 resveratrol

[目的]腫瘍細胞の浸潤と移動には、上皮間葉変換(EMT)が重要な役割を果たす。近年、歯周病原細菌Fusobacterium nucleatum(F. nucleatum)は口腔扁平上皮癌の病態に関連していることが報告されている。レスベラトロールは、植物にとって欠くことのできないポリフェノールの一種であり、抗炎症及び抗がん特性を示す。そこで、本研究の目的は、F. nucleatum の腫瘍促進作用におけるレスベラトロールの効果を調べた。
[方法]細胞はヒト舌扁平上皮癌由来細胞株HSC-3を使用した。Cell Counting Kit-8法で細胞増殖能に与える影響について調べ、細胞の遊走能については、を創傷治癒アッセイにて評価を行った。また、Real-time RT-PCRにて遺伝子発現、ウェスタンブロッティングにてタンパク質を調べた。
[結果・考察]F. nucleatumはHSC-3細胞において、EMT転写因子snai1の発現を誘導し、E-cadherinの発現を抑制した。このことから、F. nucleatumがHSC-3細胞の遊走能を誘導することが示唆された。一方、レスベラトロールは、snai1の発現および創傷治癒を抑制していたことから、F. nucleatumによる上皮間葉転換を抑制することが明らかになった。以上より、レスベラトロールはin vitroF. nucleatumによるがん細胞の遊走を制御し、その制御メカニズムはsnai1シグナル伝達経路を介する可能性が示唆された。