The 65th Annual Meeting of Japanese Association for Oral Biology

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Poster

Poster session

Sat. Sep 16, 2023 1:20 PM - 7:00 PM Poster Presentation (121講義室)

[P1-2-14] Elucidation of the molecular mechanism underlying development of oxidative stress-mediated sterile inflammation in temporomandibular joint osteoarthritis

〇Kanna Asanuma1,2, Seiji Yokota1, Naoyuki Chosa1, Karen Abe1,2, Kazuro Satoh2, Akira Ishisaki1 (1. Dept Biochem, Iwate Med Univ Sch Dent, 2. Div Orthodont, Iwate Med Univ Sch Dent)

Keywords:変形性顎関節症、酸化ストレス、過酸化水素

研究目的:変形性顎関節症(TMJ-OA)とは、下顎頭軟骨の組織破壊、顎関節周囲滑膜炎などの退行性病変を呈することを特徴とする炎症性疾患である。また炎症巣での酸化ストレスは、炎症のさらなる増悪を助長することが知られている。しかし、TMJ-OAにおいて、酸化ストレスがどのような分子メカニズムで炎症を誘導するのかは不明である。本研究では、酸化ストレスをマウス顎関節由来線維芽細胞様滑膜細胞株(FLS1)に与えた際に、ケモカインの発現がどの様に影響するのかを調べた。 方法:酸化ストレスを引き起こす活性酸素種として、過酸化水素(H2O2)を用い、このH2O2がどのようなシグナル伝達経路を利用してケモカインの発現を誘導するのかを調査した。また抗酸化物質N-アセチルシステイン(NAC)が、H2O2誘導性のシグナル伝達経路の活性化やCXCL15 mRNAの発現促進効果にどのように影響するかを調査した。 結果:H2O2は、FLS1細胞におけるCXCL15 mRNAの発現を濃度依存的に促進した。またH2O2は、MAPKに属するERK1/2のリン酸化を増強した。ERK1/2の上流に位置するMEKに対する阻害剤U0126は、H2O2によるCXCL15 mRNAの発現促進効果を抑制した。加えて、NACは、H2O2によるERK1/2のリン酸化増強効果を部分的に抑制したが、H2O2誘導性のCXCL15 mRNAの発現促進効果には影響を与えなかった。 結論:CXCL15は、好中球の走化性促進因子として知られている。TMJ-OAでは、H2O2による酸化ストレスで活性化された細胞内シグナルは、ERK1/2依存的にケモカインCXCL15 mRNAの発現を増強することで、局所の炎症反応を惹起する可能性が示唆された。現在、NAC以外の抗酸化物質が、H2O2誘導性のCXCL15 mRNAの発現促進効果に与える影響について調査中である。