[P1-2-15] Erythritol has the potential to inhibit the expression of senescent molecules in mouse gingival tissues and human gingival fibroblasts
Keywords:エリスリトール、歯周組織、老化抑制
従来、老化関連疾患の一種である歯周病の予防には、歯周病菌を減らすプラークコントロールが行われているが、宿主の老化制御による予防法は存在しない。一方、キシリトールなどの糖アルコールは虫歯予防の食品等で広く用いられているが、歯周組織に対するこれらの影響については不明である。本研究では、歯肉組織や歯肉線維芽細胞に対する、糖アルコールの一種であるエリスリトールの抗老化作用をin vitroおよびin vivoで評価した。6週齢若齢マウス群(YC群)と18月齢老齢マウス(AC群)および、18月齢老齢マウスに5%w/wエリスリトール水を自由飲水させた群(AE群)をそれぞれ6ヶ月飼育した後、歯周組織における老化関連分子の発現(p16, p21, γH2AX, NF-κBp65)と炎症性サイトカイン(IL-1β, TNF-α)のmRNAおよびタンパク質発現をPCRと免疫染色でそれぞれ比較検討した。また、過酸化水素およびLPS刺激で老化を誘導した培養ヒト歯肉線維芽細胞にエリスリトールを添加した時の細胞老化マーカーおよびSenescence-Associated Secretory Phenotype(SASP)因子等の発現変化を調べた。AC群ではYC群に比べ、歯肉組織におけるp16、p21、γH2AX発現とIL-1β, TNF-α のmRNA発現が有意に増加した。一方、AE群ではそれらが有意に抑制された。また、AC群歯肉ではNF-κBp65分子の顕著な増加が観察されたが、AE群ではそれが強く抑制された。さらに、老化誘導した歯肉線維芽細胞における老化マーカーおよびSASP因子の発現はエリスリトール添加で有意に抑制された。以上の結果より、エリスリトールが歯周組織や歯周細胞の老化を抑制することが示唆された。