[P1-2-16] 生体活性ガラス含有根管用セメントがブタ歯髄細胞に与える影響
キーワード:歯髄、歯内、バイオセラミックス
歯内療法分野において、Mineral Trioxide Aggregate (MTA)は種々の目的で応用されているが、コスト面や微量ではあるがヒ素を含む等の課題もある。【目的】本研究では、MTAと同系統の材料として開発された、生体活性ガラス含有根管用セメント(BG : ニシカ キャナルシーラーBG multi, 日本歯科薬品)を被験試料とし、試料上で赤色蛍光タンパク質遺伝子を導入したブタ不死化歯髄細胞(DsRed-PPU7)を培養し、細胞に与える影響を観察することを目的とした。【材料および方法】BGをチタンディスクにコーティングし、擬似体液(PBF)中で硬化させ6 wellプレートに静置後、DsRed-PPU7を播種し、骨形成タンパク質 (BMP-2)、トランスフォーミング成長因子ベータ(TGF-β)、BMP-2阻害剤LDN-193189、TGF-β阻害剤SB-431542を様々な組み合わせで添加したMEMα培地で14日間培養した。培養細胞は蛍光顕微鏡下で観察を行い、細胞数の変化を蛍光強度から算出した。また、播種後14日後の細胞からmRNAを抽出し、定量PCRにて各種遺伝子発現を調べた。さらに、直径10 mm、厚さ2 mmのディスクを作製し、MEMα培地に14日間浸漬してpHの継時的変動を測定した。なお、比較対象としてMTA(プロルートMTA)で作成したディスクに関しても同様に測定した。【結果および考察】BG上での細胞培養は、全ての条件において播種直後に細胞数の減少傾向を示したが、5日目より増加に転じた。また、遺伝子発現においては条件によって差異が認められた。試料のMEMα培地への浸漬試験では、浸漬後にpHの上昇が観察されたがBGとMTAの間で差は認められなかった。今後はBG表面において、添加試薬の影響と表面性状の変化について観察する予定である。