[P1-2-17] Rab44はmTORC1シグナルを制御することで筋芽細胞の分化を負に制御する
キーワード:Rab44、骨格筋、C2C12細胞
骨格筋は単核筋芽細胞の融合によって形成された多核筋管で構成されている。筋形成と呼ばれる骨格筋の分化は、マウス骨格筋芽細胞株C2C12を使用して研究されており、C2C12細胞における膜タンパク質輸送機構には、低分子量Rabタンパク質が制御していることが報告されている。しかし、筋形成における高分子量Rabタンパク質の役割はまだ解明されていない。近年高分子量Rabタンパク質の1つであるRab44は、破骨細胞分化の負の制御因子として同定された。本研究では、C2C12細胞を使用して、Rab44が筋芽細胞から筋管への分化機構にどのように関与するのかを解析した。まず筋芽細胞から筋管への分化中にRab44の発現レベルが増加されることを確認した。次にRab44のノックダウンにより、筋芽細胞の分化と筋管形成が増強した。これらの結果と一致して、筋芽細胞におけるRab44ノックダウンにより、いくつかの筋原性マーカー遺伝子の発現レベルが増加した。逆に、Rab44の過剰発現を行うと、いくつかの筋原性マーカーの発現レベルの減少を伴い、筋芽細胞の分化と管形成を阻害した。さらに、Rab44は主にリソソームに局在しており、Rab44 の過剰発現によりリソソームの数とサイズが変化することが判明した。分子メカニズムについて解析を行うと、Rab44過剰発現は、C2C12 細胞におけるmTORC1シグナル伝達を減弱していた。すなわち、mTORC1および下流のmTORC1基質であるS6のリン酸化レベルは、Rab44過剰発現細胞では対照細胞に比べて著しく低かった。これらの結果は、Rab44がmTORC1シグナル伝達によって筋芽細胞の筋管への分化を負に制御していることを示している。 会員外共同研究者:長崎大 院医歯薬 歯科矯正学分野 吉田教明