[P1-2-20] 肺炎球菌タンパクSufCは宿主プラスミノーゲンと結合しプラスミンへの変換を促進する
キーワード:肺炎球菌、プラスミノーゲン、プラスミン
【目的と背景】 日本における肺炎による死者は年間約13万人であり,肺炎の主たる起因菌は肺炎球菌である.当研究室では肺炎球菌性肺炎モデルマウスの気管支肺胞洗浄液をプロテオーム解析し,in vivoにおける肺炎発症因子の候補ライブラリーを構築した.本研究では,これらのうち肺炎球菌タンパク質SufCに着目した.SufCは菌体内でFe-Sクラスターの生合成のために機能するATPaseであるが,感染に関する機能について解析した.
【方法と結果】Brevibacillus発現系を用いてSufCの組換え体を作製し,実験に使用した.ELISAにより,SufCはヒトプラスミノーゲンと有意な結合性を示すことが見出された.Biacore解析において, SufCに対しプラスミノーゲンは濃度依存的な結合を示した.プラスミノーゲンは組織型プラスミノーゲン活性化因子(tPA)によってプロテアーゼ活性を有するプラスミンに変換されるが,この変換がSufCの添加量依存的に促進された.さらに,プラスミンによってSufCは分解されることが観察された.肺炎球菌の自己溶菌酵素オートリシンの遺伝子欠失株を用いて,western blottingで検出されるSufC量を比較すると,欠失株では培養上清や菌体表層におけるSufC量が少なかった.
【考察】 上述の結果から,菌体内ATPaseとして同定されたSufCは,オートリシン依存的な肺炎球菌の自己溶菌によって菌体外へ放出され,菌体表層にも局在することが明らかになった.そして菌体表層SufCはヒトプラスミノーゲンと結合し,tPAによるプラスミンへの変換を促進することが示唆された.以上より,SufCは多機能分子であることが示された.化膿レンサ球菌のプラスミン結合タンパクは,付着因子として機能することが報告されている.今後の研究では,SufCの細胞付着に及ぼす影響を検索する予定である.
【方法と結果】Brevibacillus発現系を用いてSufCの組換え体を作製し,実験に使用した.ELISAにより,SufCはヒトプラスミノーゲンと有意な結合性を示すことが見出された.Biacore解析において, SufCに対しプラスミノーゲンは濃度依存的な結合を示した.プラスミノーゲンは組織型プラスミノーゲン活性化因子(tPA)によってプロテアーゼ活性を有するプラスミンに変換されるが,この変換がSufCの添加量依存的に促進された.さらに,プラスミンによってSufCは分解されることが観察された.肺炎球菌の自己溶菌酵素オートリシンの遺伝子欠失株を用いて,western blottingで検出されるSufC量を比較すると,欠失株では培養上清や菌体表層におけるSufC量が少なかった.
【考察】 上述の結果から,菌体内ATPaseとして同定されたSufCは,オートリシン依存的な肺炎球菌の自己溶菌によって菌体外へ放出され,菌体表層にも局在することが明らかになった.そして菌体表層SufCはヒトプラスミノーゲンと結合し,tPAによるプラスミンへの変換を促進することが示唆された.以上より,SufCは多機能分子であることが示された.化膿レンサ球菌のプラスミン結合タンパクは,付着因子として機能することが報告されている.今後の研究では,SufCの細胞付着に及ぼす影響を検索する予定である.