[P1-2-21] 免疫調節作用を有するエリスロマイシン誘導体の検索
キーワード:エリスロマイシン誘導体、免疫調節作用、TLRシグナル
【目的】マクロライド系抗菌薬は免疫調節作用を有し,非細菌性炎症性疾患への有効性が報告されている.本研究では,既存マクロライド系薬であるエリスロマイシン(EM)の化学構造を一部改変したEM誘導体の免疫調節作用について解析した.
【方法と結果】本研究では,約50種類のEM誘導体を使用した.各誘導体およびLPSをTHP-1細胞に混合添加して培養し,培養上清中の炎症性および抗炎症性サイトカイン濃度をELISAで定量した.その結果,LPSと誘導体No. 9の混合添加群では,LPS単独添加群と比較し,TNF-α,IL-6,IL-8およびIL-10の濃度が有意に低かった.続いて,Toll-like receptor(TLR)を発現させたHEK293細胞に誘導体No. 9およびLPSを添加して培養し,転写因子NF-κBの活性化に伴い分泌されるアルカリフォスファターゼ(SEAP)の活性を測定した.その結果,LPSと誘導体No. 9の添加群では,LPS添加群と比較し,TLR4発現細胞のSEAP活性が有意に低下した.なお,サイトカイン産生およびSEAP活性ともに,LPSとEMの添加群ではLPS添加群との有意差を認めなかった.また,マクロライド感受性肺炎球菌D39株に対する最小発育阻止濃度を測定したところ,EMでは40 ng/mlであったのに対し,誘導体No. 9はその1000倍の濃度を示した.
【考察と結論】EM誘導体No. 9は,TLR4を介した細胞内シグナル伝達を抑制し,炎症性および抗炎症性サイトカイン産生を抑制することが示唆された.さらに,抗菌作用を欠き,薬剤耐性菌を生じさせる懸念が少ないことも示唆された.
会員外共同研究者:砂塚敏明,廣瀬友晴(北里大学)
【方法と結果】本研究では,約50種類のEM誘導体を使用した.各誘導体およびLPSをTHP-1細胞に混合添加して培養し,培養上清中の炎症性および抗炎症性サイトカイン濃度をELISAで定量した.その結果,LPSと誘導体No. 9の混合添加群では,LPS単独添加群と比較し,TNF-α,IL-6,IL-8およびIL-10の濃度が有意に低かった.続いて,Toll-like receptor(TLR)を発現させたHEK293細胞に誘導体No. 9およびLPSを添加して培養し,転写因子NF-κBの活性化に伴い分泌されるアルカリフォスファターゼ(SEAP)の活性を測定した.その結果,LPSと誘導体No. 9の添加群では,LPS添加群と比較し,TLR4発現細胞のSEAP活性が有意に低下した.なお,サイトカイン産生およびSEAP活性ともに,LPSとEMの添加群ではLPS添加群との有意差を認めなかった.また,マクロライド感受性肺炎球菌D39株に対する最小発育阻止濃度を測定したところ,EMでは40 ng/mlであったのに対し,誘導体No. 9はその1000倍の濃度を示した.
【考察と結論】EM誘導体No. 9は,TLR4を介した細胞内シグナル伝達を抑制し,炎症性および抗炎症性サイトカイン産生を抑制することが示唆された.さらに,抗菌作用を欠き,薬剤耐性菌を生じさせる懸念が少ないことも示唆された.
会員外共同研究者:砂塚敏明,廣瀬友晴(北里大学)