[P1-2-29] ミュータンス連鎖球菌によって誘導される免疫応答の解析
キーワード:ミュータンス連鎖球菌、感染防御、自然免疫
病原体感染に対する宿主防御応答において重要な役割を担うマクロファージや樹状細胞には、病原体センサーとして様々な自然免疫受容体が発現している。これらの受容体は、PAMPsと呼ばれる病原体に特徴的な繰り返し構造を認識することから、パターン認識受容体(PRRs)とも呼ばれ、Toll様受容体(TLRs)やNOD様受容体(NLRs)、RIG-I様受容体(RLRs)などがよく知られている。認識するリガンドは、タンパク質や核酸、糖鎖など多岐にわたるが、近年になって、糖脂質などの脂質成分を認識する受容体群の存在も明らかとなってきた。一方で、口腔内には、う蝕や歯周病などの原因となる様々な病原微生物が存在していることが知られているが、これらの病原微生物が宿主免疫を介して病態形成に至る機構には不明な点が多い。例えば、う蝕原性細菌として知られるミュータンス連鎖球菌に関しては、グルコシルトランスフェラーゼなどの病原性因子の解析が精力的に行われてきたものの、感染に対する宿主側の免疫応答についてはほとんど分かっていない。そこで我々は、ミュータンス連鎖球菌感染に伴って誘導される免疫応答の分子メカニズムを明らかにすることを目的として、まず、この細菌を認識する自然免疫受容体の同定を試みた。本演題では、マクロファージや樹状細胞からの炎症性サイトカインの産生など、特にミュータンス連鎖球菌による自然免疫応答の活性化について議論したい。