第65回歯科基礎医学会学術大会

講演情報

一般演題:モリタ優秀発表賞 ポスター発表

モリタ優秀発表賞ポスター発表

2023年9月16日(土) 13:20 〜 19:00 ポスター会場 (121講義室(本館2F))

[P1-2-29] ミュータンス連鎖球菌によって誘導される免疫応答の解析

〇岩沼 青葉1,2、豊永 憲司1,3、永尾 潤一1,3、岸川 咲吏1,3、加地 英美1、中上 昌信1、岡 暁子2,3、田中 芳彦1,3 (1. 福歯大 機能生物 感染生物、2. 福歯大 成長発達 小児歯、3. 福歯大 口腔医療セ)

キーワード:ミュータンス連鎖球菌、感染防御、自然免疫

病原体感染に対する宿主防御応答において重要な役割を担うマクロファージや樹状細胞には、病原体センサーとして様々な自然免疫受容体が発現している。これらの受容体は、PAMPsと呼ばれる病原体に特徴的な繰り返し構造を認識することから、パターン認識受容体(PRRs)とも呼ばれ、Toll様受容体(TLRs)やNOD様受容体(NLRs)、RIG-I様受容体(RLRs)などがよく知られている。認識するリガンドは、タンパク質や核酸、糖鎖など多岐にわたるが、近年になって、糖脂質などの脂質成分を認識する受容体群の存在も明らかとなってきた。一方で、口腔内には、う蝕や歯周病などの原因となる様々な病原微生物が存在していることが知られているが、これらの病原微生物が宿主免疫を介して病態形成に至る機構には不明な点が多い。例えば、う蝕原性細菌として知られるミュータンス連鎖球菌に関しては、グルコシルトランスフェラーゼなどの病原性因子の解析が精力的に行われてきたものの、感染に対する宿主側の免疫応答についてはほとんど分かっていない。そこで我々は、ミュータンス連鎖球菌感染に伴って誘導される免疫応答の分子メカニズムを明らかにすることを目的として、まず、この細菌を認識する自然免疫受容体の同定を試みた。本演題では、マクロファージや樹状細胞からの炎症性サイトカインの産生など、特にミュータンス連鎖球菌による自然免疫応答の活性化について議論したい。