[P1-2-32] 歯周病原菌が一般病原菌の発育と病原因子に及ぼす影響
キーワード：微生物、その他、細菌
【目的】歯周病は不十分な口腔ケアなどによる歯肉溝内の歯周病原菌数増加で発症し、口腔内のみならず全身性疾患にも関わっている。しかし、口腔内には多種多様な菌種が生息していることから、歯周病原菌の増加は他の菌種、特に一般病原菌にも影響を与えている可能性がある。そこで歯周病原菌の培養上清が口腔内の一般病原菌の発育や病原因子に及ぼす影響について検討した。 【方法】試料は歯周病原菌のPorphyromonas gingivalisなど5菌種の培養上清を用いた。被験菌として肺炎球菌と真菌のCandida albicansを供試した。歯周病原菌培養上清をそれぞれの培地に添加して培養後、その濁度から発育抑制効果を調べた。病原因子では肺炎球菌のヒツジ赤血球を用いた溶血能に、C. albicansではレジン片への付着能およびバイオフィルム形成能に及ぼす歯周病原菌培養上清の影響を検討した。 【結果及び考察】T. forsythia培養上清は肺炎球菌の発育促進傾向を示すとともにC. albicansでも短い培養時間で同様の現象が観察された。肺炎球菌の溶血能はF. nucleatumの培養上清添加で上昇し、さらに溶血能に関連するpneumolysinの遺伝子発現量も増加していた。C. albicansの付着能とバイオフィルム形成能はともにP. gingivalis、F. nucleatumおよびT. forsythiaの培養上清の存在で促進傾向にあった。これらの結果から、歯周病原菌の培養上清は肺炎球菌とC. albicansの発育と病原因子に影響を与えることが示唆された。 （学会会員外協力者 日本大学歯学部歯科補綴学第I講座 飯沼利光） 【利益相反】利益相反状態にはありません。